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2008年01月31日(木) 06時00分

殺人ギョーザ!中国産、皮に殺虫剤!!スポーツ報知

有機リン系の農薬が検出された冷凍ギョーザが販売された「コープ市川店」の売り場に掲示されたおわび

 千葉、兵庫両県で昨年12月から今月にかけて、中国の同じ会社で製造され、日本に輸入された冷凍ギョーザを食べた計10人が下痢や嘔吐(おうと)の食中毒症状を訴えていたことが30日、分かった。このうち千葉県市川市の女児(5)が一時重体になるなど5人が重症。ギョーザからは殺虫剤に使われる毒物が検出された。大量摂取すると最悪の場合、死に至る可能性があるという。警察は中国での製造過程で毒物が混入した可能性があるとみて捜査している。

 “殺人”ギョーザに列島が震えた。千葉、兵庫両県警や厚労省などによると、問題の商品は千葉県が「CO・OP手作り餃子」(40個入り)で、兵庫県が「中華deごちそうひとくち餃子」(20個入り)。鑑定でギョーザから殺虫剤に使われる有機リン系の農薬「メタミドホス」が検出されたという。

 最初の被害は昨年12月28日。千葉市花見川区の「コープ花見川店」でギョーザを購入して食べた母娘が中毒症状を訴えた。

 年が明けた今月5日には、兵庫県高砂市の自営業の男性(51)の家族3人が、吐き気などを訴えて入院。さらに22日、市川市の「コープ市川店」で購入した冷凍ギョーザを夕飯で食べた同市の一家5人が、食後約30分で一斉に同様の症状が出た。うち5歳の女児が一時意識不明の重体に陥り、ほかの4人も重症で入院。現在は全員が快方に向かっている。

 このほか、埼玉県の33歳女性や秋田市の夫婦、熊本市の女性が体調不良を訴え、県や地元保健所が因果関係の調査を始めた。

 輸入元の日本たばこ産業(JT)の子会社「ジェイティフーズ」と販売店の「日本生活協同組合連合会(生協)」が都内で共同会見し、謝罪した上で「絶対にお召し上がりにならないで」と訴えた。JTによると、ギョーザは中国河北省の「天洋食品」が昨年10月に製造したという。

 JTでは加工品の場合、化学物質の検査はしていない。事態を受け、原因食品2商品のほか、同工場で製造、市販されているロールキャベツなど6種、業務用のヒレカツなど15種の計23商品を自主回収。手元に対象商品がある客に向け、商品を食べずにJTへ送り返すようお願いした。

 警察は当初、殺人未遂容疑も視野に入れていたが、包装の袋に針の穴などが確認されなかったため、中国での製造過程などで農薬が混入したとみて、業務上過失傷害や食品衛生法違反などの疑いで捜査を始めている。

 ◆メタミドホス 野菜などでアブラムシなどの駆除に使われる有機リン系の殺虫剤。食品衛生法では食品ごとに基準値を設けているが、これまでに中国産の冷凍カリフラワーや冷凍ライチ、そばなどから基準を超える濃度で検出されている。日本では農薬登録されていないが、農薬として使われているアセフェートが分解して検出されることがある。人が経口摂取すると胃けいれんや下痢、嘔吐(おうと)などの症状を起こす。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080131-OHT1T00059.htm