2008年01月31日(木) 21時48分
<中国製ギョーザ>都から区へファクス、中毒情報を送り漏れ(毎日新聞)
中国製冷凍ギョーザによる中毒事件は、昨年12月に千葉市で最初の被害者が発生してから公表までにほぼ1カ月を要した。31日には新たに東京都で重要な情報を送り漏らしていた問題が発覚、千葉では被害者の女性を診察した医師が中毒症状を保健所に届けていなかったことが分かった。行政側の対応遅れや相次ぐミスが一連の被害を拡大させた可能性も指摘されている。
東京都は31日会見し、中毒事件を知らせる兵庫県からの資料3枚を受け取りながら、輸入元「ジェイティフーズ」(東京都)を管轄する品川区に連絡する際、うち1枚を別の紙と取り違えてファクス送信していたことを明らかにした。欠落した1枚には、患者に有機リン系中毒とみられる症状があることを言及した部分が含まれていた。都は「反省している」とミスを認め、品川区は「(ファクス漏れがなければ)単なる食中毒ではなく、薬物中毒の可能性を想定して調査できた」と話している。
都によると、事件の資料が兵庫県からファクスされたのは7日。資料は計3枚で、送り漏らした肝心の3枚目には、診察した医師が有機リン系中毒の疑いを指摘し、兵庫県保健所が警察への相談も必要とした記述があった。
だが、都職員が品川区に送る資料をまとめた際、商品の写真を印刷した用紙が交じり、3枚目の資料と入れ替わったという。都は資料の送信とともに、電話で有機リン系中毒の可能性については説明したという。
一方、昨年12月28日に中毒になった千葉市稲毛区の女性(36)のケースで、診察した同市立青葉病院(同市中央区)が「食中毒の疑いがある」と診断しながら、食品衛生法で定められた管轄保健所長への届け出をしていなかった。
病院によると、女性は搬送された際、吐き気や嘔吐(おうと)などの症状を訴えていた。医師は血液検査などをしたうえで「急性胃腸炎または食中毒の疑い」と診断、点滴などの処置をし、女性は翌29日に退院した。
病院側は届け出義務を認識していたが、女性の症状が軽く快方に向かっていたことや、中毒症状と特定できなかったことなどから、届け出の必要はないと判断したという。「結果的に認識が甘かった」としている。この女性と次女(3)の吐しゃ物から31日、3例目の有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出された。【五味香織、堀文彦、駒木智一、中川聡子】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080131-00000156-mai-soci