金融庁サイトに6社分
上場企業の株式を大量に保有した場合などに投資家が届け出る金融庁の電子開示システム「エディネット(EDINET)」に25日、トヨタ自動車やNTTなど6社の大企業の株式の過半数を取得したとする6本の大量保有報告書が登録され、これらの企業に問い合わせが相次ぐ騒ぎとなった。取引規模は全体で約20兆円となっており、虚偽の報告である疑いが極めて濃いとして、金融庁などが調査に乗り出した。
報告書はかつては書類そのものを提出していたが、現在はネットでの開示が義務付けられている。信頼できない情報も一瞬のうちに伝わるネット社会の負の側面を浮き彫りにした形だ。
株式取得が報告されたのは、トヨタ、NTTのほか、ソニー、三菱重工業、アステラス製薬、フジテレビ。提出者は、川崎市麻生区の「テラメント株式会社」。提出先は関東財務局で、提出日は25日となっている。
提出理由は社名以外は同じで、トヨタの場合「新規にトヨタ自動車の株式を発行株式の51%を取得いたしましたのでご報告申し上げます」と記されている。
2006年6月公布の改正証券取引法(現金融商品取引法)は、投資家が上場会社の株を大量保有した場合、エディネットを通じ開示することを義務づけている。虚偽報告書の提出に対しては、懲役5年以下か500万円以下の罰金(または併科)が科される。金融庁は、「事実関係を調査中で、虚偽記載と認められれば、訂正命令を含め厳正に対処する」と説明している。
提出の手続きは、住民票などとともに所定の書類を管轄の財務局に提出し、パスワードの交付を受ける。その後、インターネットを通じて報告書を提出する。事前チェックはなく、削除するためには訂正報告書が必要で、虚偽の疑いが強くても行政側で勝手には削除できない。このため問題の報告書は同日夜まで削除されずに放置されている。
NTTは、「NTT株の51%を取得するには約4兆円の資金が必要になる。大量取得された事実はない」とコメントしている。ソニーも「常識からいってあり得ない」と説明している。