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2008年01月26日(土) 02時31分

<全国通運連盟>交付金67億円をプール 全ト協で運用毎日新聞

 都道府県が出した運輸事業振興助成交付金の一部が、全日本トラック協会(全ト協)を経由して大手運送会社などでつくる社団法人・全国通運連盟(全通連)に入り、約67億円の基金が積み立てられていることが分かった。全通連は基金全額を全ト協に預けて運用益を受け取る異例の会計処理を続け、運用益は総額47億円に達している。全通連の人件費の半分は交付金が原資で、地域の交通サービス向上を目的とした交付金の想定外の使われ方に批判が出そうだ。

 交付金制度は76年、軽油引取税の暫定税率引き上げに伴い創設された。旧運輸省通達で通運業者も交付対象になったが、全通連には地方組織がなく自治体からの交付ができないため「苦肉の策」(国土交通省)で国の承認を得て、77年から全ト協を通じて交付金を受け取り始めたという。各地のトラック協会は交付金の約25%を中央出捐(しゅつえん)金として全ト協に上納、全通連はその2.4%(現在は1.1%)を全ト協から受け取っている。

 全通連はこれを元手に基金を積み立て、06年度末の残高は約67億円に上るが、実際には全額を全ト協に預けて運用している。これまでの運用益の総額は47億円に達し、全通連は加盟業者への利子補給や役職員の人件費などに充ててきた。

 全通連には中央省庁から4人が天下り、理事長と常任理事は交付金事業を指導する国土交通省のOB。今年度は、役職員10人の人件費約9000万円の半分に当たる約4500万円を基金の運用益などで賄っている。

 多額の基金を全ト協に預けていることについて、全通連は「地方税(軽油引取税)を元にした交付金を、地方組織がない我々が扱うのはどうかと考えた。国の承認は得ている」と説明。国交省は「地方税なのにと批判はあるかもしれないが、全国組織の事業が地方の利益にならない訳ではない」と話している。

 全通連は、鉄道貨物を利用する運送会社などで組織する社団法人で71年に発足。大手運送会社など八十余の事業者が加盟している。【田中謙吉、安高晋】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080126-00000014-mai-soci