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2008年01月25日(金) 00時00分

「調べる地図」から「使える地図」へ読売新聞

生活と密接に関わる位置情報
——地図に新しい情報を付け加えるのですね

「位置情報で今までの生活習慣を大きく変えるようなサービスを作れる可能性があります」

二宮 地図はとても優れた情報整理のプラットフォームです。住所や地名などの位置情報は文字でもわかりますが、地図で見るのに比べるとイメージがわきにくい。色々な人が地図に情報を掲載することで、ブログの記事や写真が表す情報の幅を一気に広げられると感じました。

 写真には必ず撮影場所があります。GPS(全地球測位システム)機能が付いた携帯電話を使えば写真に位置情報を付加できますし、「ALPSLAB photo」を使えばもっと簡単に写真を地図上に貼ることができます。

——位置情報の利用はどのような形で進んでいるのでしょうか

二宮 2005年から米国で毎年開かれている、地図関連の技術を集めた見本市「Where 2・0」に参加したことがあります。その際に目立っていたのは、自分のいる場所を特定し、その周辺にある情報を探すといった「自己位置」を使ったサービスです。

 日本では総務省の方針もあってGPS機能付きの携帯電話の普及が広がっており、米国でも昨年のクリスマス商戦からナビゲーションシステム市場が盛り上がってきています。携帯できるサイズのGPS機器が身近になり、簡単に自己位置を利用できるようになりつつあります。

——自己位置を利用することで、どのようなことができるようになるのでしょうか

二宮 検索サービスでも、自己位置によって検索結果が変わるということが考えられます。たとえば、自動車メーカーについて調べる際、会社にいる時はメーカーの会社概要、自宅では車のカタログといったように、場所によってほしい情報の優先度は変わってくるでしょう。

 また、自己位置を蓄積することで、行動すべてをデジタルデータとして記録していく「ライフログ」にもつながります。自分が通った道や位置情報をすべてサーバーにためておいて公開すれば、位置情報を軸として身の回りの情報がすべて結び付けることができます。例えば、出張先に小学生の時に転校した友人がいて、ライフログを見たその友人から出張中に連絡があり、旧交を暖められる、なんてことが起こるかもしれません。

——位置情報の活用がもっと身近になりそうですね

二宮 位置情報は日常生活と密接に関わっています。大げさに言えば、今までの生活習慣を大きく変えるようなサービスを作れる可能性がある。音楽を持ち出すことで若者のライフスタイルを変えた「ウォークマン」のようなイメージです。一球でホームラン狙うのではなく、少しずつヒットを放っていきたいと思います。(メディア戦略局 石井重聡)

(敬称略)

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20080125nt14-1.htm