2008年01月24日(木) 22時46分
ウイルス作成“苦肉の策”で3人摘発 法整備急げ(産経新聞)
パソコンのデータを破壊するウイルスを作りアニメ画像を組み込んでインターネット上に配信したとして、京都府警が24日、著作権法違反の疑いで大阪電気通信大工学研究科生ら3人を逮捕した。ファイル共有ソフト「ウィニー」を通じた情報流出など、コンピューターウイルスによる被害は後を絶たないが、国内では海外に比べ法整備が立ち遅れており、著作権法違反容疑という苦肉の策で摘発した。
海外では摘発事例が相次いでいる。米国では2003年8月、新種のコンピューターウイルスを作成して感染を広めたとして、連邦捜査局(FBI)がコンピューター保護関連法違反容疑で18歳の高校生を逮捕。ドイツでは05年7月、裁判所が19歳の少年をウイルスの作成者と認定、1年9カ月の保護観察処分を命じている。
しかし、日本の刑法では電子計算機損壊業務妨害罪に未遂罪や予備罪がなく、実際にコンピューターを破壊して成立するためウイルスを作成しただけでは処罰できない。政府は、ウイルス作成を処罰する不正指令電磁的記録作出罪などの新設を検討しているが、適用範囲の指定が難しいことなどから、実現には至っていない。
府警は「生活に密着したインターネットは社会インフラの一部となっており、ウイルスの存在自体が大きな社会悪」と判断。作成者の摘発に乗り出した。
サイバー犯罪に詳しい甲南大学法科大学院の園田寿教授(刑法、情報法)は「今やウイルスによる被害は大きく、作成者の処罰は世界的傾向になっている。著作権法違反罪による摘発は立法の趣旨にそぐわないので、早期の法整備が必要だ」としている。
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