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2008年01月24日(木) 12時19分

PCウイルス作成者を国内で初摘発、24歳大学院生読売新聞

 アニメ画像を無断で使ったコンピューターウイルスを作成し、インターネット上に流出させたなどとして、京都府警ハイテク犯罪対策室と五条署は24日、大阪府泉佐野市に住む私立大の大学院生の男(24)を著作権法違反容疑で逮捕、自宅など数か所を捜索した。

 ウイルスの作成者が摘発されるのは、日本では初めて。

 調べによると、大学院生は昨年10〜11月、作成したコンピューターウイルスを、著作権のあるアニメ画像に仕掛けて改変したうえ、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を通じてばらまき、不特定多数のパソコンに表示させて、著作権を侵害した疑い。

 ウイルスは「原田ウイルス」と呼ばれるものの亜種とみられ、アニメ画像のファイルを開くと、ウイルスが作動し、パソコン内に保存されたデータを破壊したり、個人情報を流出させたりするといい、最近ネット上に出回るようになった。

 大学院生は、ウィニーのネットワーク内で、アニメ画像を流出させることで知られる大阪府内の会社員の男(39)と兵庫県内の30歳代の無職の男のファイルに見せかけて、ウイルスを流していたという。調べに対し、「有名なファイル名を使えば、ウイルスを蔓延(まんえん)させられると思った」と供述。府警は24日、2人についてもアニメ画像を無断でネット上に流したとして同容疑で逮捕した。大学院生が2人以外の数人分のファイルに見せかけたケースもあり、府警が追及する。
 ウィニーを巡っては、京都府警が2004年5月、開発者の元東京大助手金子勇被告(37)を著作権法違反(公衆送信権の侵害)ほう助の疑いで逮捕。同被告は1審・京都地裁で罰金150万円の有罪判決を受け、控訴している。

 コンピューターウイルスによって、個人情報が流出するなどの被害が広がっているが、ウイルスを作る行為を罰する法律は国内にはない。政府は、各国がインターネット犯罪に協力して取り組む「サイバー犯罪条約」に署名し、条約締結の条件となっているウイルス作成を罰することなどを盛り込んだ刑法などの改正案を04年、国会に提出した。しかし、法案に盛り込まれた共謀罪について紛糾し、制定は先送りされている。

 このため、業務用コンピューターのシステムが破壊されるなど被害が大きい場合は、威力業務妨害などを適用するしかないという。また、IDやパスワードなどで防御されたコンピューターへの不正侵入については、2000年に施行された「不正アクセス禁止法」で取り締まっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080124-00000024-yom-soci