豊和銀行(本店・大分市)の独身寮の関連工事で水増し発注し、同行から約2千万円をだまし取ったとして、大分県警は19日夜、同行元常務のケーブルテレビ会社役員、漆間角人(かくと)容疑者(59)=大分市上宗方=ら3人を詐欺の疑いで逮捕した。同行は06年、不良債権処理に伴い90億円の公的資金を注入され、漆間容疑者を含む当時の経営陣が退任した。県警は、同行内で強い影響力を持っていたとされる漆間容疑者が、同行の発注工事を巡って、他にも不正な利得を得ていた疑いがあるとみて調べている。
他に逮捕されたのは、工事を受注した建設会社の元専務、穴井輝見(55)=同市城原=、会社役員、寺本勝己(67)=同県日出町藤原=の2容疑者。
調べでは、3容疑者は02年、同行が穴井容疑者の建設会社に対し、大分市神崎の独身寮「田ノ浦寮」の敷地内にある斜面工事を発注する際、同社に工事代金を水増しした虚偽の見積書を提出させて約6500万円で工事契約を締結させ、水増し分の約2千数百万円を同行からだまし取った疑い。工事代金は同年7月から9月にかけて、同行から2回に分けて建設会社の口座に振り込まれたという。
漆間容疑者は当時、工事の発注を担当する総務部トップの取締役総務部長を務めていた。穴井容疑者らは、工事の素材単価を実際より引き上げたり、工事方法を簡略化するなどの手口で費用を水増ししたという。
豊和銀行は49年、大豊殖産無尽として設立。53年、豊和相互銀行に改組したのち、89年に普通銀行に転換、現在の行名に変えた。
不良債権処理で、連結自己資本比率が2.29%に低下した06年4月、金融庁が早期是正措置を発動。同年9月には九州財務局が業務改善命令を出し、同12月に公的資金90億円が注入されている。
06年1月と07年11月には、行員や福岡支店次長による約三、四千万円の着服も発覚している。
同行の梛原(なぎはら)憲治頭取は19日深夜、記者会見し、「過去の経営陣による不祥事とはいえ、当行の信用を傷つけたことはまことに残念だ」と話した。 アサヒ・コムトップへ
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