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2008年01月10日(木) 17時53分

否認事件も審理回数1/3以下に 裁判員裁判の研究報告東京新聞

 最高裁司法研修所(埼玉県和光市)の「裁判員制度の下における大型否認事件の審理の在り方」に関する研究報告書の全容が10日、明らかになった。取り調べの録音・録画(可視化)を「有力な選択肢」とし、公判中の主張変更などがなければ罪状否認の殺人事件なども審理回数は現行の3分の1以下に短縮できるとの見解を示している。

 報告書は司法研から委嘱された東京、大阪両地裁の裁判官計5人がまとめた。殺人罪などの被告が公判で起訴事実を否認し、判決までに15−38回(1事件の年間公判は現行20回程度)の審理を要した過去5件の大型否認事件を対象にして、裁判員裁判の審理の在り方を検討した。

 報告書は基本的な考え方として「公判前整理手続きで争点と証拠が的確に整理され『口頭主義』(法廷での証言や供述で判断する)にのっとった訴訟活動が必要。供述調書などを読み込まなければ判断できない証拠調べはしない」などと指摘。

 その上で(1)直接証拠がない場合、従来のように幅広く状況証拠を取り上げるのではなく、実質的に意味のあるものに絞る(2)自白の任意性をめぐり被告と取調官の言い分が水掛け論になる審理は維持できない−などとしている。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008011001000492.html