「メディカルサロン」グループ(東京都)による向精神薬マジンドールの無資格処方事件で、同グループのマジンドールの仕入れ量が、近畿厚生局麻薬取締部による06年の家宅捜索後、半分以下に減少していたことがわかった。また捜索後に、関西の拠点のエステ店を向精神薬を取り扱える診療所に切り替えていたことも判明。大阪地検と同取締部は、同グループ代表の医師、風本真吾容疑者(44)=医師法違反容疑で逮捕=らに摘発を逃れる意図があったとみて当時の経緯を調べる。
関係者によると、同グループは06年、マジンドールを成分とする錠剤を1年間で約5万2000錠仕入れていた。これは全国でトップクラスの量だったという。麻薬取締部は06年10月、同グループの関西の拠点「心斎橋メディカルサロン」(大阪市)が本来向精神薬を扱うことができない提携先のエステ店に、マジンドールを販売した疑いがあるとして、麻薬及び向精神薬取締法違反容疑で関係先を捜索した。
風本医師はこの容疑について、事情聴取の際に「グループ内で錠剤を移動させただけで、販売したわけではない」などと一貫して否認していた。しかしこの捜索以後、マジンドールの仕入れ量は激減し、07年は、11月末時点で約2万1000錠と前年の半分以下に落ち込んだ。
同グループは提携エステ店にマジンドールを販売する際、グループの医師がテレビ電話などで客とやりとりしたり、エステ店従業員が問診して書類をファクスで送るだけで「処方可能」と判断したりしていた。さらに2回目以降は無資格の従業員が処方することもあったという。
麻薬取締部は、同グループが捜索後に一連の処方や販売の問題点を認識し、ずさんな管理や取引を改めた結果、取扱量が減ったとみている。
また捜査対象となった心斎橋メディカルサロンは、家宅捜索が始まった数日後の06年10月上旬に向精神薬を取り扱える診療所に切り替わった。
捜査本部は、エステ店のままでは薬の取り扱いが認められないため、同グループが急きょ届け出たとみており、捜索後の一連の対応は、風本医師らが違法性を認識していたことを示すものとみている。