2008年01月07日(月) 15時02分
<無年金者>父の年金取り戻す…54歳長女、納付信じて(毎日新聞)
「社会保険庁は古い記録をどう確かめ、原簿をどこまでたどったのか」。保険料納付期間が25年に満たないため、今後、年金を受給できない人は約118万人に達すると推計する社保庁。「納付期間が11カ月足りない」と指摘され、無年金者として80歳で亡くなった男性の遺族は、社保庁への不信を隠さない。
男性の長女(54)は、父親の年金を取り戻すために総務省年金記録確認第三者委員会への申し立てを検討している。
長女らの話では、男性は終戦前は大手企業に勤務、戦後は自営業で生計を立てていた。1962年に友人と設備会社を設立、その後80年に独立して自ら設備会社を設立、社長に就いた。死亡した93年8月、長女が記録を照会したところ、地元の社会保険事務所から「未加入期間が11カ月間ある」と回答された。
「見つかっていない記録があるのでは」と、消えた年金問題が表面化した昨年6月、長女は地元の社保事務所に記録を改めて照会した。だが、事務所が同12月に示した被保険者記録照会回答票では、終戦前の会社員時代の加入は44年10月〜45年8月までしか認定されておらず、友人と設立した会社で部長を務めていた15年間は支払っていないことになっていた。独立後の80年8月〜86年4月は納付したと記載されていたが、これらを合わせても、納付期間の不足状態は変わらなかった。
26年4月1日以前の生まれの人には、厚生年金は40歳以後に15年間加入すれば受給できる特例がある。男性の場合、妻の加入期間を未加入部分に合算できる当時の制度も使えるが、それでも受給資格に足りないという。
男性の手帳には企業入社は32年からとメモされていた。社長時代は厚生年金の支払いについて、きちょうめんに記録していた。長女は「『掛けていたのになあ』という生前の父の言葉が耳に残る」と話し、納付したはずの年金保険料を確かめ直す方法を模索している。【野倉恵】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080107-00000050-mai-soci