記事登録
2008年01月07日(月) 15時01分

<無年金者>118万人に…記録漏れも影響 社保庁推計毎日新聞

 年金保険料納付期間が25年に満たないため、年金をもらえない高齢者や今後納めても受給できない人が計約118万人に上ることが、社会保険庁の推計で分かった。この「無年金者」の中には、納付しているにもかかわらず宙に浮いた5000万件の中に記録が紛れ受給できない人もいるとみられる。日本の受給制度は納付期間が諸外国と比べ長いうえ、1カ月でも欠ければ受給できない。政府・与党も制度の見直しなど対応策を検討している。

 現行制度では、国民、厚生、共済の各年金の支払期間の合計が25年にならないと保険が受け取れない「25年ルール」がある。特例で保険料免除期間がある場合はこれも加算される。70歳以上は原則として納付が認められない。

 無年金者の実態について、社保庁は長年「不明」としてきた。しかし04年、会計検査院が社保庁の資料を基に60歳未満で約39万人が受給できないと推計。一方、社保庁は同年、65歳以上について受給できない人は約40万7000人に上ると国会の質問主意書に回答していた。だが、60歳以上65歳未満については明らかになっていなかった。

 一連の問題を受け、社保庁は昨年4月1日現在で改めて推計を実施。それによると、今後納付し続けても期間が25年に満たない無年金者は▽60歳未満約45万人▽60歳以上65歳未満約31万人▽65歳以上約42万人−−で計118万人に上ることが判明した。

 一方、総務省年金記録問題検証委員会は記録漏れの5000万件のうち7840件をサンプル調査している。昨年10月の最終報告によると、宙に浮いた分だけで25年を満たす人が75人(1%)いたことが判明した。サンプル対象者の平均納付期間は国民年金が5.8年、厚生年金が2.7年で、10年以上納付した人も10%おり、これらの記録が加算されれば25年を満たす人も増えるとみられる。

 社保庁によると、海外の保険料納付最低加入期間は▽英国男性11年・女性9.75年▽ドイツ5年▽米国10年▽韓国10年▽フランスなし−−で、いずれも日本より短い。政府・与党は無年金の防止など対応策の検討を始めている。【野倉恵】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080107-00000049-mai-soci