旧海軍以来の伝統を誇るカレーライスなど海上自衛隊の自慢料理のレシピが、この年明けから、海自のホームページ(HP)で公開されている。
対象は約200品に上る和・洋・中のメニュー。毎週2品ずつを加えていき、約2年ですべてのレシピをそろえる予定。これまでは調理担当者しか知らなかった「隠し味」も惜しみなく披露し、防衛問題への関心が低いとされる主婦や若い女性の目を引こうという作戦だ。
海自は、調理師資格も持つ調理担当の隊員を全国に約1000人配置。洋上勤務が多い隊員にとって数少ない楽しみの食事を支えている。洋上の隊員に曜日の感覚を取り戻してもらおうと、毎週末の昼食にカレーを出しているのも海自の伝統の一つだ。
もともとカレーは、旧海軍が英海軍の軍隊食をまねて導入、1908年にまとめたレシピ集「海軍割烹(かっぽう)術参考書」に料理手順を掲載したことで、全国の部隊に広まった。戦後に自衛隊が発足した後も、各部隊で調理担当者が独自の工夫を加え、艦艇や基地ごとに受け継がれている隠し味がある。
海自では、情報流出などの不祥事が相次ぐ中、イメージアップにも役立つと、HPでのレシピ紹介を発案。通常100食分以上をまとめて作る各部隊では、調味料類は「目分量」で入れているため、今回初めて各部隊に4人分を作る際の分量を計算させ、約60種類のカレーを含む200品のレシピを集めた。
第1弾として元日に公開された音響測定艦「ひびき」のカレーでは、焼き肉のタレや、みじん切りの白桃、乳酸飲料などが隠し味として紹介されている。海上幕僚監部広報室は「レシピを参考にした献立で、少しでも海上自衛隊のことが食卓の話題に上ってくれればうれしい」と話している。