投資会社「ワールドオーシャンファーム」(東京都台東区)がエビ養殖に投資すると偽って約4万人から約600億円を集めていたとされる詐欺事件で、警視庁生活経済課が、同社会長黒岩勇容疑者(58)を旅券法違反と入管難民法違反の疑いで逮捕していたことが4日わかった。
黒岩容疑者は、詐欺容疑で会社などが捜索された昨年7月末以降、行方が分からなくなっていた。同課では、詐欺容疑でも同容疑者を追及する。
調べによると、黒岩容疑者は、昨年5月26日と12月1日、関西国際空港から他人名義のパスポートを使ってフィリピンに出国するなどした疑い。
黒岩容疑者は昨年12月20日、逃亡先と見られるベトナムから帰国。翌21日、東京都中央区の銀行にある現金自動預け払い機(ATM)で、本人名義の口座から、現金を引き下ろそうとしたが、同銀行からの通報で駆けつけた同課員に逮捕された。
同社は2005年ごろから、「フィリピンでのエビの養殖事業に投資すれば、1年で2倍の配当を支払う」との触れ込みで、全国の出資者から多額の資金を募集。当初は10日ごとに配当を支払っていたが、一昨年秋ごろから支払いが滞るようになり、昨年1月には完全にストップした。
黒岩容疑者は同2月、米国内の銀行口座に4000万ドルを送金したが、米連邦捜査局(FBI)は「犯罪に関与した資金の疑いがある」として口座を凍結している。