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2007年12月28日(金) 15時01分

<クレジット不信>血液サラサラ詐欺、信販会社が公表せず毎日新聞

 「血液がサラサラになる」と高齢者らをだまし高額ブレスレットを売りつけた健康器具販売会社「サンキョーコーポレーション」(東京都豊島区)。千葉地検松戸支部は27日、社長ら6人の罪名を詐欺罪からより刑罰が重い組織犯罪処罰法違反に変更した。複数の大手クレジット会社が同社を加盟店にして手数料を得ながら、事実を公表していないことが分かった。

 千葉県警の調べで、サ社は2万円で仕入れたブレスレットを20万〜45万円で売り、25億円を売り上げていた。被害者は04年4月〜今年4月で39都府県8200人。国民生活センターによると、相談は97年4月から今月までに605件で、うち309件がクレジット利用。捜査員は「分割払いができたので、持ち金がない人にも売れたのだろう」と話す。

 「年金生活だと断ったが、『クレジットが使える』と強く勧められて……」。岩手県の男性(75)は27万円で買ったブレスレットを手に肩を落とす。

 05年6月、日用品の安売り会場でサ社社員に呼び止められた。社員は指から採った血を顕微鏡にのせ、「ドロドロですね」。ブレスレットを10分間はめ再び採血すると、赤血球の間隔が広がった。実はガラス板に血を押しつけただけだった。

 男性は報道で詐欺と知り、サ社に電話したがつながらない。代金はクレジット会社が全額引き落としていた。

 盛岡市消費生活センターには事件後、クレジット契約者10人から相談が来た。支払総額の約3割が分割手数料だった例もある。口座からの月々の引き落としは顧客が訴えなければ止められない。吉田直美主査は「まだ詐欺だと知らない被害者もいるはず。クレジット会社は積極的に情報提供すべきだ」と話す。

 悪質リフォームが問題となった05年8月以降、全国信販協会の会員各社は加盟店がうその勧誘など特定商取引法違反で行政処分された際、ホームページで事実や相談窓口を公表している。サ社を加盟店にした大手は「行政処分でないので公表しなかった。今後は社会的影響の大きさも考慮して判断したい」としている。【クレジット問題取材班】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071228-00000069-mai-soci