子供や孫など身内を装って電話をかけ現金をだまし取る「おれおれ詐欺」の今年の被害額が11月30日現在で、昨年1年間の被害額を2000万円余り上回る5243万円(16件)に上り、振り込め詐欺全体(9416万円)の56%を占めていることがわかった。最高で約850万円をだまし取られたケースもあり、振り込め詐欺の初期の手口として横行したおれおれ詐欺が“復活”、急増していることに県警は警戒を強めている。
■850万円振り込み 県南の60代の女性は4月4日、男から「おれおれ。会社の金を使い込んでばれた」と電話を受けた。電話を変わった別の男から「上司だ。息子さんも反省しているようだから、払えばクビにならないようにする」と言われ、約310万円を振り込んだ。
翌5日にも、“上司”から「さらに多額の使い込みがわかった。1000万円振り込んで」と要求され、約340万円、約200万円と2回に分けて振り込んだ。女性は息子と同居していたが、出張中で連絡が取れなかったという。
■巧妙に身内装う 「父さん、携帯が新しくなったよ」。秋田市内の80代の男性は10月、男からそんな電話を受け、番号を伝えられ、“息子”と思い込んだ。4、5日後、「仕事で失敗して相手の会社に迷惑を掛けた」と金を要求され、10月19、22の両日に計620万円を振り込み、約1か月後に実際に息子に会い、だまされたことに気づいた。
12月11日には、秋田市内の別の80代男性が「おじいちゃん、携帯電話の番号が変わったよ」と電話してきた男を“孫”と信じ、翌12日に「おじいちゃん、いる? 株をやって失敗した」と再度、電話を受け、196万円をだまし取られた。
最初に携帯電話の番号変更を伝えて身内と信じ込ませ、見知らぬ番号でも怪しまれないようにする手口とみられる。
県警によると、おれおれ詐欺の被害額は、2004年に8704万円(振り込め詐欺全体の42%)とピークだったが、05年1290万円(同7%)、06年3149万円(同30%)と下火になっていた。07年は11月30日現在、4種類ある振り込め詐欺のうち、おれおれ詐欺は最多で融資保証金詐欺2609万円、架空請求詐欺1644万円、還付金詐欺152万円を大きく引き離している。
県警は「すぐに振り込まず、まずは落ち着いて本人に確認し、必ず誰かに相談を」と呼びかけている。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20071227-OYT8T00147.htm