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2007年12月22日(土) 02時30分

<霊感商法>「病気治る」つけ入られ…被害女性が証言毎日新聞

 有限会社「神世界」本部(山梨県甲斐市)が神奈川県警に詐欺容疑で家宅捜索された霊感商法事件で、関西在住の被害女性2人(いずれも40代)が毎日新聞の取材に応じた。神世界が経営する全国各地のヒーリングサロンでの被害が拡大する中、悩みにつけ入ってヒーリングで治ると信じ込ませ、法外な価格で“宗教グッズ”を売り付ける実態が明らかになった。うち1人の女性は「『投薬治療するな』と言われ、症状が悪化し、緊急手術を受けた」と憤っている。

 2人は今年1月下旬、路上で「病気だったがヒーリングで治った」などと勧誘された。うち1人が病気を患っており、投薬治療中だったため一気にのめり込み、大阪と京都にあるサロンに月3〜4回のペースで通い始めた。

 部屋で対面に座り、ヒーリング担当の「先生」が手を動かし、「気が来てるでしょ」「頭が痛いでしょ」と話しかけてくる。入室前と終えた後に写真を撮られ、「むくみが取れましたね」などと説明された。「御玉串」と呼ばれるヒーリング代は、当初30分で1000円だったが、その後10倍の1万円に上昇。高位の「会主」から受けると、わずか5分で1万円にもなった。

 「神様があなたを引き上げてくれる。病気も治る」と「おまもりさま」を10万5000円で買った。日々の忠告が書かれている「神書」も1万円で購入。変化を感じると「御礼」として5000円、1万円を出した。つぎ込む金額はどんどん増えた。「神力祭」参加費1万5000円、500ミリリットルの水1600円……。

 もう1人の女性は夫の暴力に悩んでいた。「不幸になる名前だ」と改名を勧められた。人生を変えたい一心で12万円出し、新たな名前と言葉が書かれた色紙を渡された。

 「先生」を信じた病気の女性は今夏、大量出血して緊急手術を受けたという。後日、「先生」から「命が守られたのは神様のおかげ。御礼を」などと求められ、知人から霊感商法と指摘されて、ようやく我に返った。2人がサロンに「お金を返して」と迫っても応じていないという。

 結局払った額はそれぞれ約50万円にのぼる。2人は「洗脳され、だまされた自分に腹が立つ。でも、弱みにつけ込むのは許せない」と話している。【田辺一城】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071222-00000009-mai-soci