政府が製粉会社に売り渡す際の小麦の価格が来年4月、大幅に値上げされることが確実となった。国際的な小麦の取引価格が高騰しているためで、農水省は、少なくとも20〜30%の値上げは避けられないとみている。政府はすでに今年10月、10%値上げし、小麦粉などを原料に使う多くの食品メーカーが製品の価格を引き上げた。来年4月の値上げでも、最終的にパンやめん、菓子類などの大幅値上げにつながる可能性が高い。
小麦粉などの高騰で先月、一部商品の値上げに踏み切ったパン店。「小麦だけでなく、チーズやバターなどの乳製品、包装材に至るまで値上がりして打撃は大きい。原価率との闘いです」=18日午後、大阪・ミナミで
農水省によると、指標となる米シカゴ商品取引所での小麦の取引価格は昨年ごろからじわじわと上がった。今年1〜5月ごろまでは1ブッシェル(約27キロ)あたり4〜5ドルだったが、夏以降急騰し、最近は8〜9ドルで推移している。豪州や東欧など産地の干ばつに加え、投機資金が流れ込んでいることが背景にある。
政府の売り渡し価格の次の改定は来年4月。今年6月〜来年1月の取引価格などが反映される。6〜10月に政府が購入した輸入小麦の価格に、農家への補助金分などを上乗せすると、1トンあたり6万6790円(主要5銘柄)。昨年12月〜今年7月の取引価格などをもとに10月に改定した価格5万3270円を、すでに25%上回っている。
11月以降はさらに小麦の値上がりが激しくなっており「どう考えても4月の値上げは避けられない」(農水省食糧貿易課)状況だ。また、国産小麦の生産も増えていることから、補助金の財源確保のため、財務省も一定の値上げを求めているという。
値上げ幅は1月までの価格動向次第だが、最低でも20〜30%の値上げになる見通しで、2月上旬に発表する。
政府売り渡し価格が大幅に上がれば、食品メーカーの値上げも避けられない状況だ。大手製粉会社は「来年の4月になってみないとわからないが、一般論として、値上げ分を企業努力で吸収するのは難しい」と話す。大手パンメーカーや即席めんメーカーも「原材料の高騰次第では値上げの可能性はある」としている。
政府が今年10月に10%値上げした際には、製粉会社に続き、製粉会社から小麦粉を買ってパンや菓子、めんをつくるメーカーも値上げを表明した。小麦だけでなく、食用油や包装材に使う原油高も値上げに拍車をかけている。