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2007年12月11日(火) 06時05分

コロナストーブ、ふた半ロックで灯油漏れ 火災6件朝日新聞

 大手ストーブメーカーコロナ(本社・新潟県)製石油ストーブのワンタッチ式でふたを開閉する灯油タンクで、閉めたはずのふたが開き、灯油がもれる恐れのあることが経済産業省所管の独立行政法人の調査でわかった。火災になる可能性があったとみられる事例を調査し、「半ロック」状態になるタンクがあることを確認した。コロナは火災につながる危険もあるとして、05年以降、ふたを改良するとともに使用者への注意喚起を始めた。

  

「半ロック」状態になったワンタッチ開閉式の灯油タンク

 このタンクは「よごれま栓」という同社独自の商品。ピンを引くとふたが跳ね上がる。給油時に手が汚れず、87年発売以来、全国で人気という。

 独立行政法人・製品評価技術基盤機構(ナイト)北陸支所によると、02年10月以降に北陸3県の6件の火災で、タンクをストーブに戻そうとしたり、給油のために持ち上げたりした際に突然ふたが開いて灯油がこぼれ、ストーブの火に引火したと家人が証言したという。点火中にストーブ底部から火が出て、あわててタンクを引き抜くとふたが開いた例もある。全焼例もあり、死者1人とやけどなど軽傷4人の被害者が出ている。

 ナイトは、焼損しなかったタンクを調査。ふたを閉める際に斜め方向に力が入ると、ロック部分が完全にかかっていないのに、正常に閉まった時と同様に「カチッ」という音がすることがわかった。使用者が誤認する可能性があるという。繰り返しの使用でふたにがたつきが生じると、起きやすくなるとみている。

 新潟市消費生活センターがナイトに通知した01年2月の火災でも、半ロック状態が原因でふたが外れたと分析している。

 コロナの再現実験では半ロックになる製品は出ていないという。が、ナイトとの合同調査で半ロックになるものがあることを確認。05年に蝶番(ちょうつがい)を改良して、ふたが斜めになりにくくした。

 他社の石油温風機やガス湯沸かし器の事故が問題になったこともあり、同社はふたが閉まったと確認する方法を周知するチラシを昨年と今年で各10万部作り、取扱店などに配った。今年10月からホームページでも注意を呼びかけている。

 コロナ品質保証部は「使い続けるうちにふたの形状がおかしくなって起きる可能性はある。タンクを戻す前にロック状態の確認をしてほしい」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/1210/TKY200712100270.html