京都大の山中伸弥教授が手法を開発した皮膚からつくる「万能細胞(iPS細胞)」を使ってマウスの貧血を治療することに、米ホワイトヘッド研究所(マサチューセッツ州)のチームが成功、米科学誌サイエンス電子版に6日付で発表した。
実験に使ったのは、赤血球が鎌の形(三日月形)に変形し、酸素運搬能が低下する「鎌状赤血球貧血」と呼ばれる病気の原因遺伝子を組み込んだマウス。しっぽから採取した皮膚細胞に計4種類の遺伝子を組み込んで、まずiPS細胞を作製した。
次に、iPS細胞に含まれる貧血の原因遺伝子を、特殊な方法で正常な遺伝子に置き換え、血球などのもとになる造血幹細胞にまで成長させてマウスの体内に戻した。
治療した雄のマウス3匹は、2カ月程度で貧血の原因となる異常なヘモグロビンが、治療しなかったマウスの約3分の1に減少。貧血の特徴である低体重や荒い呼吸なども大幅に改善したという。