88歳の女性患者の人工呼吸器を外し、死亡させたとして殺人容疑で書類送検された和歌山県立医大病院紀北分院の男性医師(55)について、和歌山地検は6日、「死亡との因果関係は認められない」として、嫌疑不十分で不起訴処分にした。
日本救急医学会は今年10月に呼吸器外しを容認する指針を出したが、加藤朋寛次席検事は「社会的情勢は考慮に入れていない」と述べた。
呼吸器外しをめぐっては、北海道立羽幌病院の医師が殺人容疑で書類送検されたが、旭川地検は昨年8月に不起訴処分にした。同年3月に発覚した富山県の射水市民病院で外科部長らが患者7人の呼吸器を外した件は富山県警が捜査中。
和歌山地検は不起訴の理由について「複数の医師から『呼吸器を装着していても患者はまもなく死亡していた』との鑑定意見が出ている」と指摘。「病的な要因で死亡した可能性を否定できない」と説明した。