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2007年12月05日(水) 23時32分

<収賄容疑>学位取得に便宜…名古屋経済大教授を逮捕毎日新聞

 名古屋市立大(同市瑞穂区)の大学院医学研究科教授当時、医学博士の学位取得に便宜を図った見返りに学位申請者から現金を受け取ったとして、愛知県警捜査2課などは5日、名古屋市瑞穂区春山町、名古屋経済大教授、伊藤誠容疑者(68)を収賄容疑で逮捕した。伊藤容疑者は審査の口頭試問の内容を事前に漏らした疑いがあり、県警は特別捜査本部を設置した。また謝礼が同研究科で恒常化していた可能性もあるとみて、全容解明を図る方針だ。

 調べによると、伊藤容疑者は同研究科臨床機能内科学教授だった05年3月下旬、教授室内で、同25日に授与された博士学位論文審査で有利な取り計らいをした謝礼として、審査を申請した5人から5回にわたって1人当たり20万〜30万円の計百数十万円を受け取った疑い。伊藤容疑者は「現金は受け取ったが、有利な取り計らいはしていない」などと容疑を否認しているという。

 県警は贈賄側の5人については(1)容疑を認めている(2)既に医者として勤務している−−などの理由から逮捕を見送り、容疑が固まり次第、贈賄容疑で書類送検する方針。県警は5日、伊藤容疑者の自宅を家宅捜索、6日には名市大を捜索する。

 名市大によると、学位取得に必要な論文などの審査は3人の教官が担当。申請分野を専攻する教授が「主査」、他の2人が「副査」を務める。「主査」は申請者を受け持つ主任教授が就任することが多く、副査は互選による。3教官が審査会を開き、申請者の口頭試問などを経て約40人の教授で構成する教授会に諮り、可否を決める。

 伊藤容疑者は02年4月から同大学院教授として勤務し、審査委員会の主査を務め05年3月に退官。名古屋経済大のホームページによると、現在は同大教授として臨床医学などを教えている。

 ◇複数の医師が「謝礼渡した」証言

 愛知県内の複数の医師が5日、毎日新聞の取材に対し「自分も学位取得の際に指導教官に謝礼を渡した」と証言、事件の背景にはこうした慣例があった疑いが強まった。また伊藤容疑者については「お金に執着がある」「親分肌」との評があり、謝礼の見返りに口頭試問の内容を漏らした疑いがあることが逮捕につながった。

 名古屋市立大で博士号を取得した医師は「学位取得の謝礼を指導教官に渡すのは一般的で、自分も数万円を持っていった。伊藤さんは見栄っ張りでお金に執着がある人だったので、謝礼を拒むことはなかったのではないか」と話す。同大を80年代に卒業し、別の私大で博士号を取得した医師も「先輩から博士号を取得した後に指導教官に謝礼20万円を渡すよう教えられた。全国の医学部で定着している慣例で、礼儀として当たり前と思った」と言う。

 一方、別の医師によると、伊藤容疑者は「親分肌で酒好き」。有能な弟子を海外の大学に送って英語論文を書かせ、自分も共同執筆者に名を連ねることで力を発揮したという。この医師は「努力家の一面がある一方、逆らう人は完全に排除するタイプで、遠い病院に飛ばしたりもした。伊藤容疑者が教授になった時の教授選挙で、伊藤容疑者に反発した医師が団結して引きずり降ろそうとしたこともあった」と話した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071205-00000181-mai-soci