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2007年11月30日(金) 19時30分

山下清さんを「犯人視」したメディアの責任 【この週刊誌がすごい】オーマイニュース

 今週は、守屋前防衛庁事務次官と奥さん逮捕の記事と、反ミシュランものが大量に載っている。

 守屋逮捕をきっかけにして、東京地検特捜部はどこまで視野に入れているのか。興味津々だが、国会では、額賀財務相の喚問が暗礁に乗り上げている。野党側に、新たな追及材料がないというのが、その大きな理由だが、国政調査権でも何でも使って、最大の伏魔殿の暗部を抉り出さなければ、せっかくのチャンスを無駄にしてしまう。民主党の「野党力」が試されているのだ。

 ポストは、小沢一郎民主党代表と親しい渡辺乾介氏を使って「独占120分」インタビューをやっている。その中で、福田総理との会談の席上、「国連決議に基づく国際協力をするという確約は、福田首相から文書で提示されていた」との発言を引き出している。

 11月18日のインタビューとある。新聞各紙が後追いをしているが、なかなかのスクープである。

 現代は、ひねって中田横浜市長の追及第4弾がトップだ。「“憤死”前市長【横浜・高秀秀信】の未亡人【美智子さん・71歳】が激白 『夫は中田宏【指入れ合コン】に殺された』」と、前横浜市長の未亡人に告発させているが、読む限り、このタイトルは、いくらなんでも誇大でしょう。

 先週発売された「ミシュランガイド」には、大方の週刊誌が辛口採点だ。文春は「ミシュラン150軒『書かれざる弱点』」。ポストは「ミシュランガイド『星乱発』に異議あり!」。新潮は「日本版『ミシュラン』に泣かされた『名店リスト』」。現代は評論家の福田和也氏に独自の名店を選ばせていた。

 渡辺淳一氏が新潮のコラムで、こういっている。

 「高級レストランに馴染んだ審査員が、日本にまで出かけてきて、格付けすることはない。それはすでに、繊細な味を見分けられる日本人がやっているのだから、いまさら3つ星とか2つ星とか、単純な数値で評価して、決めてもらわなくても結構。とにかく、余計なお世話である」

 至極真っ当な意見であろう。

 「週刊アサヒ芸能」が、「撮った! SEX教団『全裸美女儀式』」という、まか不思議なものをやっている。秋田県湯沢市で、信者たった7人の新興宗教団体の「正しいセックス」という“儀式”を写真入りで紹介しているのだが、なぜ、このようなものを取り上げたのだろうか。理解不能の特集である。

 香川の祖父母孫3人が行方不明になった事件は、大方の取材陣の推測を“裏切って”親類の川崎政則容疑者が殺人容疑で逮捕された。その間、被害者の子供の父親である山下清さんは、テレビなどに「疑いの眼差し」で見つめられた憤りを、こう述べている。

 「俺のことを疑うんは構わんけど。(中略)テレビ的には、親が殺した方が受けるかもわかりません。(中略)(犯人が)僕じゃないと分かったとき、大々的にやってきたテレビが、謝ってくれるんですかね。知らん顔して違う話題を笑いながらするだけやと思うんですよ」(文春)。

 山下さんが捜査車両に乗って買い物に出かけようとしたとき、民放のアナウンサーが「今、山下清さんが任意同行される模様です」と絶叫したという。

 これはテレビだけの問題ではない。メディアにいる人間が、予断と偏見によって思考停止してしまったら、どれほど危ういことになるか。今回の事件でも表れてしまった。

(オーマイニュース編集長:元木 昌彦)

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