オウム真理教による事件の被害者救済をめぐる問題で、自民党の「犯罪被害者等基本計画の着実な推進を図るプロジェクトチーム」(早川忠孝座長)は26日までに、被害者に対して国が賠償金を肩代わりすることを柱とした救済法案の概要をまとめた。教団は来年3月末に破産手続きが終結する見通しで、賠償金の未払い額は約25億円に上る。このため、同党は来年の通常国会に議員立法で提案する。
概要によると、国が肩代わりして賠償金を支給する対象は、「生命または身体を害されたことによる損害賠償請求権で弁済を受けていない部分」となる。財産的な損害だけを受けた人は、対象から外している。
国が肩代わりする理由については、(1)オウム犯罪は民主主義に対する挑戦であり、無辜(むこ)の市民が国の身代わりとなって被害を被った(2)破産手続き中の教団による賠償は限界に達している(3)一連の事件は外国で特別立法がなされた9・11テロ事件やロンドン連続爆破テロ事件に匹敵する——といった点を挙げている。
96年に破産した教団が負った債務額は約51億円に上る。このうち、地下鉄サリン事件などの被害者や遺族への賠償に当たる債務が約38億円あるが、これまでに支払われたのは約13億円に過ぎないという。
救済問題をめぐっては、破産した教団の管財人を中心に12年にわたり破産手続きを進めてきた。だが、先月の債権者集会で、管財人は来年3月末で破産手続きの終結を提案。理由について、管財人側は「教団による賠償を被害者に配当していく形での救済には限界がある」などと説明した。
これを受けて、自民党PTが今月に入り、賠償金を国が肩代わりする形の救済法案を来年の通常国会に議員立法で提出する方針を決定。民主党も同じような検討を進めており、今後は超党派の協議が進む可能性もある。
http://www.asahi.com/politics/update/1126/TKY200711260092.html