2007年11月25日(日) 18時50分
ネットのチケット詐欺急増 目立つ10代の犯行と被害(産経新聞)
インターネット上の掲示板に「コンサートのチケットを転売する」とうその書き込みをして、代金をだまし取る詐欺事件が後を絶たない。国民生活センターによると、被害相談は過去5年で約6倍に増加。近年は携帯電話が普及した影響もあり、未成年が犯行に手を染めたり、被害者になったりするケースが目立つ。年末年始に大型コンサートを多数控え、警視庁は「気軽に書き込んでも、だますことは犯罪。買う側は着払いにするなどしてリスクを避けてほしい」と呼びかけている。(宝田将志)
●動機は短絡的
「試しにやってみたら、すぐ金が入った。ヤバイと思ったがズルズル続けてしまった」。今年7月、千葉県松戸市の高校2年の女子生徒(17)が詐欺容疑で警視庁に逮捕された。
女子生徒は人気アイドルグループ「関ジャニ∞」のファンが集まる掲示板に、携帯電話を使って「チケ2枚譲ります」などとうそを書き込み、女子高生(17)など48人に計約65万円を口座に振り込ませていた。
携帯電話を使ったチケット詐欺では、昨年11月に関ジャニ∞のコンサートチケットを売るとうその書き込みをした神戸市の無職少女(18)が愛知県警に逮捕されたほか、今月2日には、プロ野球のチケットを売ると偽った兵庫県尼崎市の中学2年の男子生徒(14)が同県警に書類送検されている。
「だました金で関ジャニ∞のコンサートに行った」(女子生徒)、「長電話した携帯料金の支払いに困ってやった」(男子生徒)と、動機はいずれも短絡的だ。アイドルグループ「ジャニーズJr.」のコンサートチケットを売ると偽ったとして、埼玉県警に12日、詐欺未遂容疑で逮捕された宇都宮市の無職少女(17)は「自分もだまされたことがあり、ばれないと思った」と供述しているという。
警視庁幹部は「準備に手間がかからず、ネット上の知らない相手にうそをつくので抵抗感が薄いのかもしれない」と分析する。
●10代の被害増
被害相談も増加している。国民生活センターに寄せられたコンサートチケットのネット売買に関する相談は、平成13年度は47件だったが18年度には299件に増加=グラフ参照。ほとんどが「金を振り込んだのにチケットが届かない」といった内容だ。
その中で増えているのが10代の被害。13年度には7件で全体の15%だったが、18年度は59件で20%となった。人気アイドルグループを抱える芸能事務所は「正規のルートでチケットを購入するよう会報などで注意を呼びかけている」という。
しかし、総務省によると、13〜19歳の7割以上が携帯電話でインターネットを利用。ファン掲示板へのアクセスを制限する「フィルタリング」は完全には普及しておらず、熱烈なファンは掲示板のやり取りでも人気のコンサートチケットを入手しようとしているのが実態だ。
10代が10代にだまされるケースも出ており、警視庁は「だまし、だまされないように普段から親が子供との対話を深めてほしい」としている。
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