2007年11月24日(土) 10時00分
加ト吉 創業者加藤義和氏「人生の帳尻」(日刊ゲンダイ)
日本に冷凍うどんを普及させた加ト吉。その創業者である加藤義和氏(71)はいま何を思っているだろうか。
JT・日清食品連合に身売りされることになった加ト吉。一代で築いた会社がアカの他人の手に渡る。創業者にとってこれほどツライことはあるまい。
「06年加ト吉は設立50年を迎え、次の100年に向けて新たな一歩を踏み出した途端、事実上会社がなくなってしまう。加藤さんは昨年講演で、冷凍のうどんやフライの加ト吉は売上高3000億円だが、20年後には“ごはんの加ト吉”となって今よりずっと大きい会社になると夢を語っていたんですけれどね」(食品関係者)
売上高の水増しを意図した加ト吉とグループの不正取引がこの3月発覚。4月には、経営責任を明確にするため加藤氏が会長兼社長の座を退いた。
「引責辞任した後、加藤さんが加ト吉に姿を見せることはなく、会社から連絡を取ることもしていません」(加ト吉幹部)
加藤氏はどうしているのか。側近だった加ト吉役員が近況をこう話す。
「加藤さんは体調がすぐれず、地元香川県にいて病院通いを続けています。今回の不祥事で血圧が上がって安定しないようです。加藤さんは観音寺市長や商工会議所会頭を務めた地元の名士ですが、こうしたところへ顔を出すこともないでしょう。琴平参りもままならないようですからね」
完全にリタイアしたということか。
ただ表舞台から姿を消したとはいえ、今回の身売りに関しては悪いことばかりじゃないようだ。買収の方法がTOB(株式公開買い付け)となるため、加ト吉株の値上がりが確実。実際、20日の加ト吉株価はストップ高の506円。JT・日清連合はTOBに約1000億円を用意する考えだから、6.7%を持つ加藤氏は単純に計算して67億円を手にすることができる。
「加藤さんは冷凍食品分野の大手になったものの、加ト吉が生き残るためには、実はもっと大きな食品会社に買われることが必要と以前から考えていた」(前出の役員)という。不祥事で会社を去るなど嫌なことはあったものの、案外結果オーライだったのかもしれない。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071124-00000017-gen-ent