2007年11月24日(土) 17時20分
私立大学の「資金力」 結局は在校生や卒業生が頼り(J-CASTニュース)
少子化や国の補助金カットの影響で私立大学の「資金力」が弱まってきているなかで、「学校債」が注目されている。2007年9月30日に本格的な施行がはじまった金融商品取引法で、学校債は「みなし有価証券」とされ、不特定多数の投資家から資金を調達できるかわりに、投資家が1億円以上を引き受ける場合などは一般の企業並みの情報開示が必要になった。資金調達の手法が多様化するので歓迎かと思ったら、「かえって厄介なだけ」(私学関係者)らしい。
■私学が発行する学校債も「有価証券」に位置づけ
文部科学省によると現在、学校債を発行している私立大学・高校は「把握していないが、そんなにない」(私学行政課)という。
学校債には国立大学法人が発行する学校債と、私学のそれと2通りあり、前者はこれまで国立大学法人法と証券取引法(現・金商法)で有価証券としての発行が法的に担保されていたが、私学が発行する学校債は「有価証券」にあたらず、位置づけがあいまいだった。金融商品取引法で、そこを明確にした。
文科省は学校債について、「金融商品取引法によって有価証券と見なされたことで、投資家保護を重視する必要が出てきた。不特定多数の投資家でも買える債券になったということを学校側も意識してほしい」と話している。
学校債はこれまで、2001年の文部科学省の通達で一般の個人を募集対象とすることが可能になっていたが、現実には債券の購入者の多くが在校生の保護者や卒業生、学校関係者と「身内」ばかりで、それもあってか、財務情報等の開示義務もなかった。なかには学校側が無利子で資金を調達していたケースもあり、債券といっても実際は単なる「借用書」にすぎなかったといえる。