鋳鉄管製造大手の栗本鉄工所(大阪市西区、東証・大証1部)が、仕様を下回る厚さの鉄板を使った高速道路橋脚用の型枠を旧日本道路公団に納入していたことがわかった。型枠の試験でも結果が基準内に収まるように工作していた。同社は「構造部材ではないので、橋梁(きょうりょう)の安全性に問題はない」としているが、第三者機関による安全性が確認されるまで同製品の出荷を見合わせ、再発防止策を検討するという。
同社によると、仕様より薄い鉄板が使われていたのは、コンクリート橋の重量を軽減することを目的に、橋脚の内部に空洞を作るために使う「ホロースラブパイプ」と呼ばれる円筒形の型枠。コンクリートが固まった後にも取り出されず、そのまま橋脚内に埋設されることから「捨て型枠」とも呼ばれている。
同社が外部の指摘を受けて内部調査したところ、少なくとも約10年前から一昨年まで、カタログの仕様よりも0.1〜0.2ミリ薄い鉄板を使用した型枠を納入していたという。約20年前からは、同型枠の変形を測る試験で、本来、負荷すべき荷重の35〜80%の力しかかけず、へこみが基準(10ミリ)内に収まるよう工作し、試験成績書を改ざんしていたという。
同社は21日、「高速道路をご利用の皆様や国、高速道路3社にご不安とご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます」とのコメントを出した。
民間信用調査会社などによると、栗本鉄工所は1934年設立、従業員約1600人(07年3月末現在)。07年3月期の売上高は785億円で、鋳鉄管製造業界ではトップクラス。
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西日本、中日本、東日本の各高速道路会社は該当する型枠が使われた区間について、近く緊急点検を実施し、有識者らによる第三者委員会を立ち上げて安全性について検討することを決めた。