ソフトウェアで圧倒的なシェアを誇るマイクロソフトがウェブの世界で攻勢に転じている。ポータルサイト「マイクロソフト・ネットワーク」を軸に、「Windows Live」「Office Live」などのサービスを次々に打ち出す狙いは何か?
サービスとソフトの両輪笹本 マイクロソフト・ネットワーク(MSN)は、次世代のポータルサイトを目指します。メディアとしての顔を持ちたいのです。例えば、ブロードバンド環境やテレビのデジタル化が進む時代に、動画は重要なコンテンツですね。現在、動画共有サイト「Soapbox」を開発中です。
笹本 Youtubeの後を追うだけとは考えていません。Soapboxでは、ソフトの権利保護を大前提とした上で、SNS動画のあり方を探ります。テレビのモニターでSNS動画を見る時代がくることを想定しているからです。メーンは広告モデルですが、将来は有料配信をにらんだビジネスモデルも出てくるかもしれません。
笹本 ロングテールの理論で言えば、MSNはヘッドに当たるメジャーな音楽だけを扱うわけではありません。テール部分のストリート系の音楽などを発掘して、Soapboxに乗せることもできます。両者をうまく結び付けるプラットフォームを、MSNは提供できるのです。私が前に勤めていたMTVジャパンは、音楽業界の王道を行くメディアなのでそれができませんでしたけど。
笹本 感動はコンテンツを通してユーザーに提供するものですが、コンテンツが面白くても、感謝はされません。感謝されるのは技術です。マイクロソフトでは、感動の部分をMSNが担い、感謝の部分はWindows Liveが担当しています。両者が掛け合わさって、メディアとしての力を持つのです。
笹本 ヤフーはショッピングやオークションに強く、グーグルは検索に特化しています。MSNは次世代に向けて、パソコンをベースに、テレビやモバイルとも連携できるサービスを考えています。ネットはスイッチングのスピードが速い。流れの速いウェブの世界で、我々も何年もかけてソフトを市場に出すのではなく、ユーザーのニーズに合わせて素早く対応する必要があると考えています。