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2007年11月21日(水) 22時26分

<控訴棄却>比女性が保険金目的で殺害 民事で2審も認定 毎日新聞

 千葉県で98年に死亡した男性会社員(当時34歳)の生命保険金支払いを巡る訴訟の控訴審判決で、東京高裁(柳田幸三裁判長)は21日、受取人のフィリピン人女性(40)側が保険金目的で会社員を薬物中毒死させたと1審に続いて認定した。その上で、第一生命に保険金4500万円の支払いを求めた女性の控訴を棄却した。

 男性の死後、殺人容疑で捜査している千葉県警が刑事事件として立件していない一方で、民事訴訟では2度にわたり「事件」と認定される異例の展開となった。

 会社員は98年6月、交際していた女性を受取人として第一生命と生命保険契約を締結。同8月に呼吸困難を訴えて受診後に脳死状態となり、急性心不全で死亡した。女性は第一生命に保険金支払いを求めて提訴したが、1審・千葉地裁佐倉支部は06年5月、請求を棄却した。

 柳田裁判長は、1審と同様に会社員の死因を解熱・鎮痛剤に使われるサリチル酸による急性中毒死と認定し「薬物を投与できるのは女性しかおらず、飲食物への混入などが可能だった」と述べた。さらに「女性と愛人関係にあった元スナック経営者(既に死亡)と意を通じ、女性が妊娠した子を会社員の子と偽って保険契約させたうえ、薬物中毒死させたと認めるのが相当」と結論付けた。

 会社員は98年4月に別会社の生命保険を契約し、女性が保険金約3300万円を受け取ったことが判明している。判決は「その大部分は元スナック経営者に渡った」と指摘した。【北村和巳】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071121-00000154-mai-soci