民主党などが推薦した平松邦夫氏が大阪市長選で初当選した18日、関西の経済界に動揺が走った。経済界は、自公が推薦し、市営地下鉄の民営化など改革推進を掲げた関淳一氏の3選を支持してきた。民営化に慎重な姿勢を見せてきた平松氏に対しては「市政改革が後退する恐れがある。産業振興にどう取り組むかも不透明」(財界関係者)との受け止めもあり、今後、経済界と市政との関係が微妙に変化する可能性もある。
結果を受けて経済3団体が同日夜、談話を発表した。関西経済連合会の下妻博会長は「市政改革は道半ば。改革を加速させてほしい」と注文。関西経済同友会の小嶋淳司代表幹事は地下鉄民営化にふれ、「現体制で改善の成果が思わしくない場合、迷うことなく民営化を含む大胆な施策を実行してほしい」と要望した。
大阪商工会議所の野村明雄会頭は「公共サービスの民間開放などに徹底して取り組み、地域経済の活性化を」と訴えた。
ある財界関係者は「経済界と関氏との関係が良かっただけに、関係を再構築する必要がある。だが平松氏のスタンスも、まだ分からない」と漏らす。別の関係者は「関氏の改革の実績が市民に伝わらなかった」と分析。改革が停滞すれば今後、経済界と市政との間に溝ができると危ぶむ。
関経連の下妻会長が「関氏は信頼できる」と語ってきたように、市政改革や梅田・北ヤード開発で経済界と市は、いわば共同歩調をとってきた。地下鉄問題では同友会が「サービスが向上し、財政にも寄与。関西交通網の整備が活性化につながる」と関氏の民営化論を支持してきた。
平松氏は「地下鉄経営は改善の余地があり、現地点では(民営化に)賛成できない。私鉄各社とも連携を深めたい」と慎重な構え。現職だった関氏に比べ、地域活性化でも具体策を示すことはできていない。