2007年11月15日(木) 11時23分
なぜ他人に咳をかける?(ツカサネット新聞)
そろそろ冬が近づいてきた。既に例年よりも早く、インフルエンザによる学年閉鎖が行われた小学校もあるそうだ。この時期になると私は、通勤電車の中の他人の咳に異常に反応してしまう。たまたま出た咳払いではなく、間違いなく「貴方のそれ、間違いなく疾患ですよ」ってな具合の咳。音のする方を辿ると、間違いなくソイツはマスクをしていない。そして例外なく、3回は繰り返す。周りもチラっと視線をやっている。気になるのは私一人じゃないのがわかる。
「うおっほん、うほっ。んががが、うがっ。んんーごほっ」これを繰り返している当人は、別段周りを気にする風もなく、ひたすら「自分、ちょっと調子悪いんだよね」ってな感じで大威張りしてるようにも見える。そしてそういうヤツに限って、ぜえええーえったい、ハンカチや手で口元を押さえていないのだ。ナゼ、他人に平気で咳をふっかけるのか? もう、ひじょーうに腹立たしい。
年が明けるとニュース映像で、受験会場に向かう小学生の姿を見ることがある。学校指定なのか? とも思える程の子供らのマスク装着率の高さ。そして、その小学生の真剣な眼差しを追うカメラアングル。受験戦争は既にこんなに低年齢化したわけですよ、そりゃ大変だとは思いますが、この姿、なんだかちょっと怖さと、物悲しさを感じないっすかね? と言いたげな演出にも見える。以前、オバカな私はその映像を観るたび、風邪を引いてまで受験に向かうなんてすごいなあと呑気に思っていた。私には子供がいないので気が付かなかった。あのマスクは「なったからしているのではなく、ならない(移されない)為のもの」だった事に。
数年前に私は、身内が入院した際に「今、自分まで倒れてしまったら困る!」と風邪の予防に必死になった事があった。なのに、仕事先でやたら咳をする同僚が目と鼻の先にウロウロしており、「○○さん、具合悪いなら少し休んでたどうですか? 仕事ばっかりしていると、かえって治りが悪いですよ」と言ったものの、当人は私の真意を汲み取らず、「ううん、大丈夫。熱は引いたんだけど、まだ咳がね」とかいいつつ、ぜったいマスクをしない。貴様、迷惑なんだ、休めと私以外の人間も全員思っていたのだったが、頑張る自分をアピールされた上、同僚全員が次々に倒れていくという結果になった。
その中、あの小学生のマスクを思い出した私は一人、生き残りに成功した。皆もマスクをしていたら、○○さんの風邪を移されなくて済んだのにと最初は思ったのだが、ココで非常に不合理なものを感じた。マスクをするべきなのは、○○さんの方。本来マスクは自衛手段ではなく、風邪を引いた当人がマナーによってすべきものとして生まれたモノではないのか?
電車の中だろうと職場だろうと、受験会場だろうと、公共の場でのマナーが存在する。咳ぐらいで大騒ぎするなよというヒトもいるだろうが、大抵そういう発言をするヒトが、他人に咳をふっかけて平気な顔をしている事が多い。誰も口に出して注意してはくれないのは、周囲がオトナだから。マスクなしでウィルスを振り撒いているヒトを見て「ああ、風邪が辛いんだな。お大事に」などと思ってくれるのは、家族くらいだ。公共の場で赤の他人に家族を期待するのは、幼稚さを露呈するようなものなので恥ずかしい。マスクひとつでオトナ度がアップするならと諦めて付けて欲しい。マスクによって息苦しさを軽減できるのも事実なのだから。
(記者:藤沢ひなた)
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