高級料亭「吉兆」を展開するグループ会社の一つ、船場吉兆(大阪市中央区)が福岡市の店舗で菓子や総菜の消費・賞味期限を改ざんしていた問題で、農林水産省は9日、本店でも「但馬(たじま)牛」と表示した贈答用商品に九州産の牛肉を使っていたと発表した。また、「地鶏」と称した商品にブロイラーしか使用していない原材料の偽装も新たに確認。同省は同日、福岡の店舗の改ざんとあわせ、日本農林規格(JAS)法に基づき、船場吉兆に改善を指示した。
JAS法違反で農水省からの改善指示を受ける船場吉兆の湯木喜久郎取締役=9日午後2時7分、大阪市中央区の大阪農政事務所で
船場吉兆はこれまで、福岡市の百貨店「岩田屋」地下の店舗での改ざんについて、「パート従業員の独断」として本社の関与を否定。しかし、本店での偽装発覚で、9日夜、湯木正徳社長が辞任を表明した。
農水省によると、贈答用「牛肉みそ漬け」は、容器に「但馬牛」と表示しながら佐賀県産と鹿児島県産の牛肉を使用。鶏肉や明太子(めんたいこ)とセットにするなどして3万〜1万5000円で大阪市の百貨店などで販売していた。「地鶏こがねみそ漬け」「地鶏すき焼き」も、容器の表示は「地鶏」としながら、原材料はすべて国産ブロイラーだった。いずれも1万円前後で販売していた。
同省に対し、船場吉兆側は「牛肉の目利きのできる社員が質のいい牛肉を買い付けており、『但馬牛』と表示してもいいと思った。『地鶏』は仕入れ先任せで、認識が甘かった」と説明した。
福岡市の店舗での消費・賞味期限の改ざんは菓子8種類、総菜4種類に及び、自社が設定した賞味期限を最長117日過ぎた「栗の甘煮」や、72日過ぎた「黒豆」の販売が確認された。
同省は、一連の偽装は組織的に行われたとみて、福岡の改ざんへの本社の関与やほかの商品の偽装の有無について引き続き調査を進める。
http://www.asahi.com/national/update/1109/TKY200711090377.html