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2007年11月08日(木) 22時35分

耐火性能偽装、ニチアス川島社長ら幹部3人が引責辞任読売新聞

 耐火性能を偽った住宅建材を販売していた建材大手ニチアスは8日、4人の代表取締役のうち川島吉一社長(58)、田中勇会長(70)、奥本久治専務執行役員(63)の3人が偽装問題の責任をとって辞任する人事を発表した。

 3人は、昨年10月の社内調査で防火建材の国土交通相認定を不正取得していたことを把握したが、公表していなかった。

 田中氏と奥本氏は8日付で辞任。川島氏は社内の原因究明対策委員会の報告を受けたうえで、11月30日に退任し、それまでに後任社長を決める。3人とも退職金を辞退する。

 8日に記者会見した川島社長は「大臣認定を不正に取得し、事実を一年間隠蔽して被害を拡大した責任をとりたい。大変申し訳ない」と謝罪。「強い非難やしっ責を受け止め、再発防止のために社内体制を作り替えていきたい」と述べた。

 偽装が発覚した先月30日以降、住宅メーカーが取引の中止を検討していることや、建材の改修費用が少なくとも300億円に上ることなどが明らかになり、同社の株価も急落していた。同社によると、同社の電話相談窓口には7日夕までに約1800件の問い合わせがあり、このうち約500件は「うちの家の安全性は大丈夫か?」といった不安の声だという。

 国交相認定を不正取得した建材が使われている住宅は計約10万棟で、耐火性が基準以下と確認されたものは約4万棟を数える。同社では新たに認定を取得した建材を使って改修工事を急ぎたいとしている。

 弁護士も加わった同社の原因究明対策委員会では、偽装が判明している建材以外についても過去の試験データを基に調査しており、認定を受けている131件のうち53件で偽装がないことを確認した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071108i415.htm