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2007年11月07日(水) 11時27分

女子W杯バレーに見る疑問ツカサネット新聞

北京オリンピック出場権を懸けた女子ワールドカップバレーが展開中だ。
そして4日の試合で日本はセルビアに敗れ、5日の新聞では各紙「五輪に黄信号」と伝えられていた。だがその記事内容に少し疑問を持った。

まず、相手国セルビアの現在地だ。
先のヨーロッパ選手権で2位に入ったセルビアは、強豪と呼ぶにふさわしい国だ(ワールドカップの時点で弱小などないのだろうが)。だが現在の世界ランキングでは日本の7位に対してセルビアは9位。つまりランキング上ではセルビアは格下であり、セルビアが強豪なら、日本もまた強豪なのである。だが記事では格上セルビアのような印象を与え、前回対戦時の“奇跡の逆転劇”まで持ち出していた。このランキングの信憑性がどれほどのものなのか定かではないが、記事を見る限り実力はセルビアに分があり、今回の敗戦は実力通りの敗戦であり、決して不覚ではない。ということは、3試合目での黄信号はある程度予想できる範囲だったのではないだろうか。

では、実力通りに敗れた日本はどのようにして負けたのか。
ほとんどの記事に「平均身長で10cmも高い相手のブロックなどに苦しめられた」とする敗戦理由が書かれてあった。もちろんそれも1つにはあるだろうが、これはサッカーにおけるアフリカ勢との身体能力の差を理由に挙げるのと同じで、これではいつまで経ってもサッカーではアフリカ勢に勝てない、バレーでは平均身長の高い国には勝てないということになる。例えば2004年のアテネオリンピックでは同じアジアの中国が金メダルを獲得した。日本人と同じような体型を持った中国がなぜ、金メダルを獲得出来たのだろうか。そこには高さによるマイナスを補う何かがあったからではないのだろうか。

中国を例に取るまでもなく、日本女子も昔のことながらオリンピックでの金メダル獲得を成し遂げている。当時の映像を簡単に見ることは出来ないが、海外選手との体格差は今とそれほど変わらないだろう。ではなぜ彼女達は金メダルを獲得出来たのだろうか。

今では普通に使われているコンビネーションの「Aクイック」などのパターン。最初に考えだしたのは確か日本だったように思う。拭い取れない高さというマイナス面を消すために、スピードやタイミングで対抗しようと試行錯誤を重ねた努力の策である。

バレーにおいて高さが1つの武器であることは言うまでもない。
だが、高さだけで勝負が決まるものでもない。現に過去の前例やすぐ近くに参考となるべき国も存在する。私でさえそう思うのだから、関係者ならとうの昔に分かっていることだろう。そして既に開発中なのかもしれない。だが大衆の目を一番に受けるテレビや新聞からはそのような情報は伝わってこない。専門的な知識よりも言葉のインパクトの方がはるかに大衆の目を引き、バレーに目を向けさせる一因にはなるだろう。だが所詮それは上辺だけの一過性の人気でしかなく、心移りの早い大衆はすぐにそっぽを向いてしまうだろう。これらのメディアには、バレーを単なる視聴率を稼げる、あるいは枠を埋めるためのソフトとして伝えるのではなく、バレー界を発展の一端を担っているという気持ちを持って伝えて欲しい。


(記者:adios7210)

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