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2007年11月07日(水) 14時14分

薬害肝炎、初の和解勧告 骨子案を12月提示 大阪高裁朝日新聞

 出産時の止血用で血液製剤を投与された後にC型肝炎になった患者らが、国と製薬会社に賠償を求めている「薬害C型肝炎訴訟」のうち、大阪訴訟の控訴審第7回口頭弁論が7日午後、大阪高裁で開かれ、横田勝年裁判長が原告、被告双方に和解を勧告した。一連の集団訴訟で初めて。福田首相が「政府の責任」に言及し、舛添厚労相も今月中に和解を成立させたい意向を示しており、提訴から5年をへて全面解決へ一歩を踏み出した。

「和解勧告」の紙をかかげる原告団の弁護士=7日午後1時38分、大阪市北区で

 横田裁判長は和解勧告の理由について、国と製薬会社が和解の意向を示したことに触れ、「和解成立の可能性があると判断した」と述べた。さらに、和解方針にあたる所見の提示は「時期尚早」として、和解骨子案を12月7日ごろまでに示したい考えを明らかにした。

 高裁は9月14日の前回弁論で、和解による早期解決を提案し、少しでもまとまる可能性があれば和解勧告する方針を示した。先月15日、原告が国側の「法的責任と謝罪」などを求めて和解案を提出し、国も和解に前向きな意見を伝えた。被告企業の田辺三菱製薬(旧三菱ウェルファーマ)と子会社ベネシスも同31日に和解協議に応じると回答したため、高裁は和解勧告の方針を固めていた。

 原告側が高裁に示している非公開の和解案には、謝罪のほかに全原告への補償、原告以外の患者も含めた恒久対策が全国の原告弁護団の総意で盛り込まれているとみられる。しかし、国の過失責任をめぐっては大阪、福岡、東京、名古屋の4地裁判決で認定時期が分かれ、仙台地裁判決は国の責任を認めなかった。国は時期を限定して法的責任を認める意向を大阪高裁に伝えたとされ、投与時期が異なる原告全員の補償には難色を示す可能性もある。

 一連の集団訴訟は02年10月以降、原告が5地裁に相次ぎ提訴。現在、患者171人が5高裁・4地裁で裁判を続けている。大阪訴訟の控訴審では、20〜50代の男女13人が国と製薬2社に総額7億5900万円の損害賠償を求めている。

 福田首相は先月末、「政府に責任がないとはいえない」と語り、舛添厚労相に和解協議への対応を指示。舛添氏も「謝罪すべきは謝罪し、補償すべきは補償する」と述べ、今月中の和解成立をめざす考えを示していた。

http://www.asahi.com/national/update/1107/OSK200711070033.html