2007年11月06日(火) 10時45分
GT−Rはポルシェになれるか(ツカサネット新聞)
日産が6年以上という異例の時間をかけて開発したGT-Rが完成した。
現時点では、一般人で試乗した人もおらず、カタログ上の性能では、ポルシェをも上回る性能が宣伝されている。これを機に日産がGT-Rにかけた想いを考察したい。
日本の自動車産業は、安価で燃費のいい車を量産する技能に優れることから経済のグローバル化や原油価格の高騰などをチャンスに、世界で販路を広げ、ついにトヨタはアメリカGMを越えて、世界ナンバー1の自動車メーカーになった。
しかし、そうしたステイタスを得てもトヨタ、日産など日本車メーカーは素直に喜べなかった。それは世界的に車を販売していても「顔の見えない安い車を作るメーカー」としての地位しか得られていないからだ。
量でGMを打倒したトヨタが次に目標にしたのは、「質とブランド」でメルセデスを越える試みで、「レクサス」ブランドの立ち上げだった。挑戦開始から数年が経つがその成果は中途半端だ。アメリカでは、レクサスは既にメルセデスを越えた評価を受けることもある。だが日本と欧州では、やはりメルセデスに匹敵するブランドにはなりえていないのが実態だろう。
そして、トヨタに遅れること数年。事業再建から立ち上がった日産が目標にしたブランドは「ポルシェ」だった。日産がトヨタと違うのは、新ブランドを立ち上げるのではなく、「GT-R」という一つの車だけに全力を傾け、ポルシェを越えようとした点だった。たしかにGT-Rはレース場で、かつてポルシェを抜き去るという性能を見せたことも事実で、それが日産とGT-Rというブランドを支える神話となっていた。
今回のGT-Rもカタログ性能値では、ポルシェを超えていると聞く。しかし、GT-Rがかつてのような輝きを取り戻すか、また、世界に輸出され、ポルシェに匹敵するブランドを確立できるかは、未知数だ。しかし、ブランドを立ち上げるトヨタ戦略よりも日産の一点集中作戦は以外に有効かもしれない。
スポーツカーを所有する目的は下衆に言えば、「○○さんはGT-Rに乗っている」という響きが「ポルシェに乗っている」と聞くよりもかっこよく響くかということだろう。所詮日本の高速道路で、車の性能をいっぱいに引き出すことなど皆無なのだから。
ポルシェの3分の1の値段で、性能が匹敵するスポーツカーを開発した技術陣に敬意を示しながらその試みが成功することを日本車好きの一人として応援したい。
(記者:草莽メディア)
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