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2007年11月04日(日) 10時00分

あの人は今こうしている 井手せつ子(「黒い霧の街」がヒットした歌手)日刊ゲンダイ

 デビュー曲のムード歌謡「黒い霧の街」をはじめ、「愛の珊瑚礁」、みなみらんぼうとの異色デュエット曲「男と女・昭和編」などのヒット曲がある井手せつ子さん。60年代後半から70年代にかけて活躍した。しかし、最近はナツメロ番組にも登場しない。今どうしているのか。

 会ったのは大江戸線六本木駅すぐそばのレストラン「マキムシ・セツ」。
「今年4月にオープンしたの。以前からいろいろな方とお酒や食事を楽しめる場を持ちたいと思ってて、それがやっと実現したわけ。せっかくだから、食事でもしながらお話ししましょうよ」
 井手さん、こういってほほ笑んだ。
 広さは17坪ほどあり、カウンター、テーブル合わせて25席。「マキシム」ならぬ「マキムシ」という店名そのまま、供される料理がユニークだ。この日はジュンサイが入ったコンソメのジュレ、ババロア風のジャガイモ料理ときて、いきなり刺し身の盛り合わせ、牛刺しの握りときた。これがけっこうな味で、赤ワインに実にマッチする。
「フレンチをベースにした和風味がウリね。ちょっと面白いでしょ。これは食いしん坊のワタシのアイデア。東京ミッドタウンが横にあるから、ありきたりの料理では対抗できないと思って。お客さまには絶対満足していただけると思うな」
 ちなみに、メニューは3400円、5500円のコースが中心。ワインはボトル3000円から。ウーロンハイ、レモン酎ハイ500円なんてのもある。
「ただ、ワタシ、バイオ事業もやってる関係で、お店に顔を出すのが毎日とはいかないのがつらいとこかしら」
 ハア、バイオ事業?
「姉が長いことバイオの業界にいましてね。その姉の後ろについてバイオに関する勉強をして、6年前に起業したの。主な仕事はバイオ研究をしてる大学や民間の機関への原材料の調達。本社は田町にあり、2年前からはバイオを応用したペット事業もスタートさせたわ」

 そういえば、商才に恵まれているのだろう。井手さんはかつて同じ六本木でライブハウスや日本料理屋を成功させ、話題になったことがあった。
「芸能界って経済的に不安定じゃない。で、しっかりした経済的な基盤を築き、そのうえで好きな歌を長く歌っていきたいと思ったの。でも、皮肉なことに、事業が忙しくなると、歌い続けることが難しくなっちゃう。とくに新曲を出すのは至難の業で、2年前の『TUN TUN TUN』って曲はリリースするまでに4年かかったもの」
 現在も歌手活動はままならないらしい。
「だから、バイオ学会などに出席した際、歌わさせていただいてるわ。この前も日本細胞診断学会で主催者の方が『井手せつ子ショー』を設けてくださり、歌ってきた。気持ち良かったなあ」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071104-00000005-gen-ent