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2007年11月03日(土) 10時00分

“世界の黒沢”の名作はなぜ次々にリメークされるのか日刊ゲンダイ

 またまた故・黒沢明監督の作品がリメークされる。今度は1958年の「隠し砦の三悪人」。主演はアイドルユニット「嵐」の松本潤(24)で、来年5月に公開される。
 最近は黒沢作品のリメークラッシュになっている。今年9月には「生きる」(52年)、「天国と地獄」(63年)の2作品がドラマ化され、テレビ朝日が放送した。それぞれ主演は松本幸四郎(65)と、佐藤浩市(46)。
 今年12月には映画「椿三十郎」(62年)が織田裕二(39)主演で公開される。また、放送中のアサヒ飲料「ワンダ」のCMでは、在りし日の黒沢監督の映像が使用されている。
 なぜ、今、リメークラッシュなのか。08年は黒沢監督の没後10年、10年は生誕100年にあたるが、今はちょっと時期外れという気もするが……。
「リメークの発表が続いているのは、それだけ黒沢作品が魅力的で、“世界の黒沢”のネームバリューが強力なためです。リメークする場合、テレビ局や映画会社は著作権を管理している黒沢プロダクションに数千万円から1億円の“リメーク料”を支払う必要があります。しかし、それでもヒットする確率が高く、採算が取れる。“リメーク料”は安いものです」(映画ライター)
 もっとも、こうも矢継ぎ早となると、それだけが理由なのかと勘繰りたくもなる。
 同プロは民間調査機関のリポートによれば、90年代後半から数年間にわたって赤字を計上し、一時的に黒字に転換した時期もあるが、業績の変動があるようだ。
 ちなみに、黒沢プロが所有するスタジオの土地と建物には10億円を超える抵当権が今も設定されている。もしかして、同プロは資金繰りでも悪化しているのだろうか。
 これに対して、同プロの担当者はこう説明する。
「黒沢監督のリメークについては、映画会社やテレビ局から提案があって、こちらが応じているまでです。資金繰りの悪化? それは下衆(げす)の勘繰りというもの。こちらから先方にリメークを持ちかけたことは一度もないし、今も監督の生誕100年に向けて、各所からさまざまなお話をいただいています。もちろん、監督の作品に魅力があるからだと理解しています」
 黒沢ファンの中には、「オリジナル作品のイメージが壊れる」と、リメークを嘆く声もあるが、「椿三十郎」「隠し砦の三悪人」への期待は大きい。どうなるか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071103-00000001-gen-ent