2007年11月03日(土) 08時38分
有名になったもう一つの「紀元水」 カラダにいいのは本当か(ツカサネット新聞)
先頃の集団リンチ殺人事件で一躍有名になってしまった「紀元会」ですが、毎日新聞によれば、それら信者は死亡女性に「紀元水」かけ「復活儀式」を行なったとのこと。
残念ながら復活しなかったので刑事沙汰になったわけですが、「創設者の男性(故人)に神が降りて、『群馬にある水をみなに分け与えなさい』という神のお告げを得た。それが紀元水の始まり」だそうで、産経ニュースの言う「値段は一時、1本6万円にも達した」「ガンの治る水」の薬効成分は一体何だったのかが気になります。
それはさておき、Googleで検索をしてみると、この「紀元水」ではない別の「紀元水」が売られています。
写真を見る そのトップページでは「当社の紀元水は昨今ニュース等で話題になっております、『紀元水』とは、なんら関係ございません。当社の紀元水は熊本市保健所に登録し、出荷時には日本食品分析センターにお願いし、きちんと成分を分析して出荷しております。どうぞご安心下さい」とあります。風評被害のもう一つの実例、というところでしょうか。
きちんと成分を分析しているということなので、その成分を見てみると「微量元素、アミノ酸ビタミン、酵素を多量に含んだフミン土壌(中の)フミン成分」とあります。
「フミン成分」が体にいいという臨床結果や「フミン土壌」中の分画成分のそれぞれの正確な値は不明ですが、「ご愛飲いただきました方々からは、様々な結果、反応、驚きの報告を毎日いただいております。ご自分の健康状態、個人差は色々ありますが、この天然強酸性水の力を実感されることは難しくないと思います」という文言を読んで、ひとつ試してみようかと1万数千円を払う人も中にはいるのでしょう。
実を言えば、ネット上には「ほぼ同一スペックのOEM品?」と揶揄されている「フルボミネラル」という名前の別の水も売られていたりします。こちらの成分は「フミン土壌」から抽出した「フルボ酸」。これはどうやら、先の「紀元水」と同様、天然酢や強酸性水が体にいい、というのと同じ理屈の商品のようです。
それにしても「フミン土壌」「フミン成分」「フルボ酸」というのは一体どういうものなのかと少しネットで調べてみると、工業や農業では結構使われている成分だと分かって少し安心する一方、肝心の薬効の方はやはりいまひとつはっきりしません。なぜでしょうか。
答えは意外に簡単です。薬事法では医薬品でない「食品」に薬効表示することを禁じているのですから、そのような表記を期待するのが実は間違っている、というわけです。
わたしたちは素直に薬局かそれに類するところに行くか、そうでないものをいわば自分の体を実験台にして確かめるか、という二択を迫られているということなのでしょう。判断の迷うところです。
「いつか効果が表れると信じて飲んでいる」。毎日新聞の取材に応じた「紀元会」の現役信者の人の言葉は、死人の復活まで期待することはないまでも、カラダにいいとされる水(や他の健康食品等)を「いつか効果が表れると信じて飲んで(食べて)いる」他の大勢の人々の心情を、あるいは代弁しているのかもしれません。
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(記者:湊屋 史子)
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