年金記録漏れ問題の発生原因や責任を検証する、総務省の有識者会議「年金記録問題検証委員会」(座長・松尾邦弘前検事総長)は31日、歴代の社会保険庁の長官や幹部職員の「責任が最も重い」などとした最終報告書をまとめ、増田総務相に提出した。
報告書は、約5000万件の該当者不明の年金記録のうち、約3割が生存している人の年金記録である可能性が高いことを明らかにした。
焦点の責任の所在について、社保庁長官のほか、厚生労働省の次官や関連する幹部も「重大な責任がある」とし、厚労相(厚相)は「統括者としての責任は免れない」と指摘した。現行の年金オンラインシステムを主に開発した「NTTデータ」についても、「開発と運用を受注した事業者として問題があった」と言及したほか、社保庁の「職員団体」も「待遇改善に偏りすぎた運動を展開し、年金記録の適正な管理を阻害した責任がある」とした。
問題が発生した直接的な原因として、年金記録の管理方法が紙台帳から磁気テープ、オンライン化へと変更される過程での入力ミスなど様々な要因によって、記録の統合に必要な氏名や生年月日、性別などが間違ったり、空欄になっている記録が残ったことを指摘。
年金加入者の申請があって初めて記録を訂正するという「裁定時主義」にあぐらをかき、「誤りを把握・検証・補正する組織的な取り組みが行われなかった」と断定した。
また、該当者不明の年金記録5000万件から7840件を抽出して、住民基本台帳ネットワークと突き合わせた結果、約33・6%が「生存の可能性が高い人の記録」、約27・9%は「死亡または受給資格がない人の記録」と判明したことを明記。一方で、特定できない記録も約38・5%に上ることを明らかにした。
最終報告を受けて、舛添厚生労働相は国会内で記者会見し、厚労相が給与20%を2か月(54万2000円)、厚労副大臣、政務官、事務次官、社保庁長官がいずれも給与10%(28万8000円〜21万2000円)をそれぞれ返納することを明らかにした。
これに関連して、福田首相は31日、首相官邸で記者団に「(来年3月末までの名寄せ完了という)政府の方針を着実に進めていくことが大事で、それが責任の取り方だ」と述べた。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071031it17.htm?from=top