2007年10月28日(日) 03時06分
<クレジット>「次々販売」防止、商品名3千万件も登録漏れ(毎日新聞)
顧客の返済能力を超えるクレジット契約を防ぐために契約情報を蓄積する個人信用情報会社「シー・アイ・シー」(CIC、東京都新宿区)で、高額商品を大量に売りつける「次々販売」を防ぐのに必要な購入商品名の情報が、契約情報の半数に当たる約3000万件について登録されていないことが分かった。商品名登録は、05年に社会問題化した住宅リフォーム詐欺事件を教訓とするクレジット業界の自主的な取り組み。悪質商法防止に後ろ向きな業界の体質が鮮明になった。
CICはクレジット業界の出資で84年に設立された。クレジット会社は個別商品の分割払い契約で顧客の購入代金を立て替え払いする際、申込書に書かれた情報や契約内容をCICに登録する。新たに契約を結ぶ際には事前に顧客の利用残高などを照会する。これらは自主ルールで会員各社に義務付けられている。
05年5月、複数のリフォーム業者が埼玉県の認知症の姉妹に床下の換気扇などを大量に売りつける事件が発覚した。再発防止策を検討した業界団体、社団法人「全国信販協会」(会長・木島光彦ジャックス相談役、千代田区、会員43社)の要請を受けて、CICは06年5月、クレジット会社が登録する情報項目として、新たに商品やサービスの名称を加えた。同一商品の契約が続く場合、「次々販売」を見破り、新たな契約を手控えさせるためだった。
ところが、CICによると、1月25日現在保有する契約情報件数6069万件のうち、商品名が登録されているのはおよそ半分で、残りの半分については顧客が何を購入したか把握できない状態だという。
次々販売の被害では、呉服や布団、宝石などさまざまな高額商品を売りつけるケースが問題となっている。CIC経営企画部は「商品名のうち住宅リフォーム関連だけは信販協会の意向で登録を義務付けている。それ以外の商品名は会員各社の判断に任せている」と話している。CICの顧客情報を巡っては、顧客のクレジット利用残高に3兆円の登録漏れがあることが判明している。
【クレジット問題取材班】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071028-00000011-mai-soci