海上自衛隊の補給艦による03年2月の米補給艦への給油量をめぐり、海上幕僚監部が誤りを把握しながら隠蔽(いんぺい)していた問題で、インド洋への派遣部隊からの正確な給油量を記載した資料を防衛省内局(背広組)も受けとっていたことが26日、分かった。政府の応答要領を作成する際、内局の部署間で情報共有ができていなかったことになる。制服組による隠蔽に加え、背広組による危機管理、情報管理上の問題点も浮き彫りになった。
石破防衛相が、26日の衆院テロ対策特別委員会で岩屋毅氏(自民)の質問に答え、明らかにした。同省が22日に発表した報告書では、海上幕僚監部による隠蔽を認める一方で、組織的関与を否定し、データの誤りについて内局には報告がなかったとしていた。
石破氏は26日、「正しく記載された資料を内局の担当課の担当者が、海上幕僚監部から受領していた事実はある」と述べ、内局側にも正しい資料が渡っていたことを認めた。海上幕僚監部から提供燃料の受領書などの資料を受け取っていたのは、内局で燃料管理などを担当する管理局装備企画課と艦船武器課需品室(当時)。
03年5月当時の福田官房長官や石破防衛庁長官は会見や答弁で、誤ったデータをもとにイラク作戦への燃料転用を否定していた。この際の応答要領は内局の防衛政策課などが作成していたが、その際、正しい資料が反映されなかった。石破氏は「対外応答要領の担当者によって(資料が)参照されることはなかったとみられる」と述べる一方、「(資料を受領した別の担当課が答弁などの)誤りに気づく立場にいたかと言えば、そうではない」とも語り、内局による意図的な隠蔽ではないと釈明した。
ただ、同省内には、データの誤りについても「内局は把握していたはずだ」(関係者)との指摘もある。同省は、調査結果を近く発表予定だが、「関係者の聞き取りのつじつまが合わず難航している」(幹部)として、発表は週明け以降に先送りされる見通しだ。
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