英会話学校最大手のNOVA(統括本部・大阪市)は25日深夜、東京・新宿のNOVA東京本部で臨時取締役会を開き、創業者の猿橋(さはし)望社長(56)の社長職を解任し、会社更生法の適用を申請する方針を決めた。
26日に大阪地裁に申請した。負債総額は500億円を超えるとみられる。
経済産業省による一部業務停止命令などで経営が悪化したNOVAは、講師への給与遅配や一部臨時休校などで経営が混乱していた。裁判所が選任する更生管財人のもとで経営合理化などを図り、再建を目指す。
この日の臨時取締役会は、4人の取締役のうち猿橋氏は欠席し、渡辺勝一(54)、吉里仁見(ひとみ)(46)、アンデルス・ルンドクビスト(49)の3取締役で開いた。経営不振に有効な対策を打ち出せなかった猿橋氏に対し不信任を突きつけた。解任した猿橋氏に代わり、3取締役全員が25日付で代表権を取得し、更生管財人が選任されるまで経営に当たる。
約40万人とされる受講生が前払いした受講料は約255億円(今年3月末時点)にのぼる。前払い受講料は、未払い賃金などの「労働債権」や金融機関からの借り入れより返済の優先順位が低く、受講生への全額返金は困難な情勢だ。NOVAは受講生保護のため、経産省などと協議し、受講の権利を継続させるなど一定の救済策を探る。
NOVAは1981年、猿橋氏が知人の外国人2人と大阪・心斎橋で創業した。「NOVAうさぎ」のキャラクターや「駅前留学」のテレビCMなどで知名度を上げて店舗網を全国に拡大し、96年に店頭(現ジャスダック)上場を果たした。2005年には教室数が977、生徒数約50万人となり、英会話学校市場の約50%を占める最大手に成長した。
だが、長期契約の解除に応じないなどのトラブルが多発し、今年2月に経産省と東京都の立ち入り検査を受けた。6月13日の業務停止命令後は、解約も増えて資金繰りが急速に悪化した。流通大手などとの資本・業務提携で生き残りを模索したが、条件が折り合わなかった。
7月からは給与遅配や家賃不払いが始まり、9月以降、外国人講師が確保できずに閉鎖や臨時休校する教室が相次いでいた。
更生管財人を中心に経営合理化を進めながら、経営再建を支援する企業などを探す。他の英会話学校が引き受けるには、最大手のNOVAは規模が大きすぎるとの見方が強い。このため、流通大手など他業種も含めて引受先を探すことになりそうだ。