仕入れ値を下回る極端な低価格でガソリンの販売を続け、他業者の営業を困難にしたことが不当廉売にあたるとして、公正取引委員会は、大手石油販売会社「シンエネコーポレーション」(栃木県小山市)と、「東日本宇佐美」(東京都江東区)の2社に対し、独占禁止法違反(不公正な取引方法)に基づく排除措置命令を出すことを決め、事前通知した。通知を受けた社は意見を述べたり、証拠を提出したりすることができ、公取委はこれらを踏まえて処分を決定する。
関係者によると、不当廉売があったのは栃木県小山市内の幹線道路沿いに2社が展開している計約5カ所のガソリンスタンド。2社は今年7月ごろ、集客のために、互いに対抗しながらガソリンの販売価格を下げ続け、原価割れの状態を継続。他業者の営業を困難にしたとされる。仕入れ値よりも安い、1リットル当たり110円台前半〜120円台前半で売っていたという。
原油高の影響で過当競争が各地で進むなか、極端な事例として同市内の状況を問題視していた業界団体などからの指摘を受け、公取委は、2社が低価格販売を続けてライバル業者を市場から追い出した後に、価格を戻して収益率を上げることを狙っていた疑いがあるとみて調査していた。
全国の月別石油価格を調べている「日本エネルギー経済研究所」の調査によると、今年7月の栃木県内のレギュラーガソリンは平均卸価格が1リットル当たり123.4円(全国は124.4円)、平均小売価格が137円(同141円)だった。
http://www.asahi.com/national/update/1025/TKY200710250420.html