高圧縮された動画を復元する方式のひとつ「DivX(ディビックス)」が、相当な勢いで普及している。2006年8月に、米DivX,Inc.の日本代表に就任した大沢幸弘さんに、現在の取り組みと課題について聞いた。
パソコンだけでなく家電1億台で利用可能大沢 米ハーバード大学ロースクール出身者やフランス人開発者らが米カリフォルニア州サンディエゴで2000年5月に起業。特に宣伝もしなかったのですが、インターネット上の口コミで広がり、その普及具合から「動画のMP3」とも呼ばれるようになりました。音楽の分野で「MP3(エムピースリー)」という圧縮再生方式が普及したのをもじっています。
大沢 DivX(ディビックス)は、動画の圧縮再生方式の1つで、高圧縮された動画を高画質で再生できます。創業者の一人が開発した動画圧縮復元方式を元に改良されています。
DVDビデオで利用されている高画質のMPEG2の圧縮技術では、約2時間分の映像が4.7Gバイトのデータ量になります。しかし、DivXを使うと、高画質のまま約7分の1の容量(CD1枚分)に圧縮できます。
大沢 現在、インターネット上には20億のファイルがあるといわれていますが、今年の8月に発表されたインターネット視聴率調査(「コムスコア」実施)によると、DivXのウェブサイトを国内で利用した人は6月で255万人と、前月比30%増でした。増加率で見ると、DivXは全体で4位でした。
DivX形式のファイルを視聴するために必要なプレーヤーソフト(DivX Player)は、無料でダウンロードできます。これまでのダウンロード数は全世界で2億2000万、日本では2500万。以前在籍したマクロメディア社製の「フラッシュ」プレーヤーは、2年ほど前で約5億だったと記憶しています。その半分くらいまで現時点で使われているとすれば、DivXは相当のスピードで普及しているといえます。
大沢 DivXを再生できるのはパソコンだけではありません。薄型テレビ、DVDプレーヤー、ビデオカメラ、カーナビ、携帯電話、ホームシアターなど、再生できる機器が1億台もある、というのが特長です。
特に、DivX対応のデジカメを使った場合は、メモリーカードをDivX対応の薄型テレビなどに入れ替えるだけで、撮影した内容をそのまま再生できます。動画ファイルを変換する必要がないのです。