高齢者らが信販会社から与信を受けた上で次々に買い物をさせられる悪質商法を防ぐため、経済産業省は規制を強化する。来年の通常国会に出す割賦販売法(割販法)改正案に、消費者の支払い能力を超える「過剰与信」をした信販会社に対する行政処分の規定を加える方針だ。
過剰与信について、現行法は「信販会社などは消費者の支払い能力を超えるような割賦販売をしないように努める」との努力義務規定にとどめている。このため、信販会社が消費者に与信する際の審査は不十分で、買い物の度に信販会社と分割払い契約を結ぶ「個品割賦方式」の悪質商法で多重債務を抱える被害が相次いでいる。
23日の産業構造審議会(経産相の諮問機関)の小委員会では、過剰与信を行政処分の対象とすることで一致した。ただ、支払い能力を測るための基準をめぐっては、消費者団体と業界などの間で意見の対立が残っている。同省は、1回当たりの契約額やクレジットの債務総額などを基準にした指針を設ける方向で検討している。
このほか、この日の小委では、同法の規制対象を個別に挙げた指定商品制を撤廃することを決めた。新手の悪質商法が現れる度に指定商品・サービスを加えるという規制の後追いに終止符を打つ狙いがあり、改正案に盛り込む。