餅菓子の老舗(しにせ)「赤福」(三重県伊勢市)が製造日を偽装していた問題で、同社が、いったん店頭に並べて売れ残った商品を回収し、冷解凍して販売していたほか、餅とあんに分離したうえでその一部を原材料として再使用していたことがわかった。農林水産省は19日、本社・工場や大阪工場など3カ所に日本農林規格(JAS)法に基づく立ち入り検査を実施し、再使用の実態などを調べた。
一方、三重県は同日、冷解凍後の商品にうその消費期限を表示した行為は食品衛生法違反の疑いがあるとして、同社本社工場を無期限の営業禁止処分にした。
赤福は当初、農水省なの調べに「店頭に並べた売れ残り商品はすべて焼却処分し、再使用の事実はない」と説明していた。しかし、同省などによると、実際には、店頭に並べた商品を回収し、餅とあんに分け直して再使用していた。この手法は、社内で「むき餅」と呼んでいた。分けたあんは「むきあん」と呼び、約半分を関連会社「和菓子の万寿や」に売り、残りは廃水処理施設に入れて汚泥として取り出し、肥料として売っていた。
むきあんの販売は少なくとも00年5月から今年1月11日まで続き、月に3千〜6千キロ程度に達していた。むき餅は、全体の約1%を製餅工程から出るかすとともに半製品の餅に混入し、半製品の原材料として再使用していた。むき餅を始めた時期は不明だが、1月13日から焼却処分に切り替えたという。
赤福は18日に公表した農水省への回答書で「配送員に出荷商品と未出荷商品を区分するよう指示がされていなかった」と釈明した。
一方、同省は内部告発の段階で、売れ残り商品の再使用の情報も得ていたが、赤福側は、消費期限を偽ったのは配送車に積み残った商品が対象だとして、店頭にいったん陳列した商品の再使用を強く否定。浜田典保社長も12日の会見で、冷解凍して製造日を偽装する行為について、「冷解凍工程も製造過程の一部という認識だった」と強調していた。