2007年10月17日(水) 15時33分
東京タワー新旧の対決 勝つのはどっちだ(J-CASTニュース)
地上デジタル放送用の新東京タワーが大揺れに見舞われている。東京・墨田区に建設することが決まり、準備が進んでいるが、既存の東京タワーがNHKと在京キー局5社に対して「地デジ移行後もウチを使って欲しい」と異例の申し入れを行なった。新旧東京タワー対決の勝者は?
■「いまのままウチを使うのが合理的」と申し入れ
高さ610メートルの新東京タワーは東武鉄道が建設主体となって同鉄道本社隣りに建設する。現在の東京タワー(高さ333メートル)では地デジ放送を携帯端末で視聴するワンセグ放送の受信に支障が出ることから、より高いタワーが必要となった。
2007年9月末に施工が大林組に決定、08年夏に着工、デジタル放送への完全移行の11年に開業する。タワー建設をめぐってはゼネコン各社が名乗りを挙げた。「鹿島が最有力といわれたが、大林組が赤字覚悟の額で落札した。都市再開発などで鹿島にやられっぱなしの大林組の遺恨の入札ではないか、というウワサが出ている」(あるゼネコン幹部)だそうだ。
こうしたなか、東京タワーを運営する日本電波塔がアンテナを利用する放送6社に「現在、ウチで送信中の地デジ放送は順調だしワンセグ放送も支障はないと聞いている。いまのままウチを使うのが合理的」と突然、申し入れた。
同社は現在、高さ260メートル付近にある地デジ用アンテナを約100メートル高い位置に移し、その費用約75億円も同社が負担。さらに、現行のアンテナ使用料も値下げするという「大出血サービス」の提案だった。
■アンテナ利用料と観光客収入が新東京タワーに流れる
これに驚いたのが東武鉄道であり墨田区だった。「施工業者が決まり、建設用地の整地作業も始まった時期に、こうした話が出てくるのは理解に苦しむ。必要ならば、こっちもアクションを起す」(墨田区幹部)ととまどいを隠せない。
日本電波塔がなりふりかまわぬ行動に出た背景には新タワーが完成すれば経営難に陥るという危機感がある。同社の売上げ約54億円の大半が放送6社のアンテナ利用料と年間約300万人の観光客による収入。これらが新東京タワーに流れてしまう。