長野県小諸市の宗教法人「紀元会」の会員ですし店経営奥野元子さん(当時63歳)が死亡した事件で、集団暴行の現場に居合わせ、逮捕された奥野さんの家族が「内またを踏みつけると痛いから、そこを踏みなさい」と言う会員の声を聞いたと小諸署捜査本部の調べに供述していることが16日わかった。
奥野さんの遺体には、内またや腕に暴行の跡が集中しており、捜査本部では暴行を扇動した者がいたとみて調べている。
調べによると、暴行現場は、講義などに使われる「大和紀元会館」の2階大会議室。現場にいた50歳代の女性会員が読売新聞の取材に話したところによると、暴行が行われた9月24日、会員らは日中から教団の作業があり、夕食後に「集まって下さい」と連絡があった。大会議室に入ると数十人が集まっており、奥の方に誰かを囲む人の輪ができていた。
大きなどなり声が聞こえたため見に行くと、奥野さんが横たわって会員たちに殴るけるの暴行を受けていたという。
女性は、その後、奥野さんの家族4人だけが翌日逮捕されたことを知り、自分が見た状況と違うため不審に思ったが「誰にも言えなかった」という。
女性は「今思えば、どんなに罵声(ばせい)を浴びせられても止めに入れば良かったが、怖くて後ろに下がってしまった。自分もいけなかったと悔やんでいる」と涙を流した。